匡章

匡章の生涯と戦績

匡章（きょうしょう、生没年不詳）は、中国戦国時代に活躍した田斉の名将で、様々な異名を持ち、318年から296年にかけて、斉の威王、宣王、湣王に仕官しました。彼は斉のために北は燕、南は楚、西は函谷関を攻撃し、数々の戦闘で多くの戦功を挙げています。その忠誠心から、斉王に対して死を厭わぬ姿勢を貫いたため、軍の指揮官として高く評価されました。

戦歴と著名な戦闘

桑丘の戦い

紀元前335年、匡章は威王によって将軍に任命され、秦が魏と韓の領土を経由して斉に攻撃してきた際に迎え撃ちました。桑丘での対峙は緊張感が高まる中で始まりますが、使者によるやり取りが続くうちに、両軍の兵士たちの間に和やかな雰囲気が生まれました。匡章はこの隙を突いて、自軍の旗を秦軍のそれに模して自陣に潜入しました。この行動は斉の斥候によって誤解され、匡章が敵に寝返ったと報告されましたが、威王は彼の忠誠を信じ、報告を無視しました。その後、匡章率いる斉軍は大勝利を収め、戦の流れを一変させました。

斉破燕の戦い

紀元前314年、燕王の内紛が続いていた時、匡章は宣王の命を受け、燕に侵攻しました。彼は燕の国都、薊を陥落させ、結果的に燕を併合することに成功しました。この戦略的勝利によって、燕の公子職が斉に服属することとなり、燕は一時的に滅亡しました。

濮上の戦い

紀元前312年、匡章は連合軍を率いて魏を攻めましたが、連携が取れず敗北を喫しました。この戦闘では、斉軍は壊滅的な打撃を受け、一部の将軍が戦死し、匡章も敗走を余儀なくされました。

垂沙の戦い

紀元前301年、楚に対して斉、魏、韓、秦の連合軍による大規模な攻撃が行われました。匡章はこの連合軍の指揮を取り、半年に及ぶ膠着状態の後、戦況を見抜き渡河を試みました。これによって連合軍は楚軍に打撃を与え、指揮官である唐眜を戦死させることに成功しました。

函谷関の戦い

紀元前299年、斉と韓・魏の合従軍が秦を攻撃し、匡章も函谷関の戦いに関与しました。彼は敵を攻めるものの、関を落とすことはできませんでした。この戦闘は彼の最後の大きな戦いとなりました。

逸話と人間性

匡章の忠誠心は特に際立っており、威王が彼の母の過去の恥辱を知っていたため、彼の裏切りを疑わなかったという逸話などが語り継がれています。このような背景から、彼の忠誠は一層強いものとなったと伝わっています。

参考文献

• - 劉向『戦国策』
• - 楊寛『戦国志』
• - 司馬遷『史記』
• - 『呂氏春秋』

もう一度検索