公孫衍

公孫衍の生涯とその功績

公孫衍（こうそんえん）は、紀元前360年頃から紀元前300年頃にかけて活躍した中国戦国時代の著名な将軍、政治家です。西部の魏の陰晋（現在の陝西省）に生まれ、最初は秦の国に仕官しました。その後、魏に移り、犀首（さいしゅ）という称号を得ることになります。彼は当時の名将、張儀と並ぶ存在として知られ、『史記』では彼の伝記が張儀に付随しています。さらに、『戦国策』にも彼に関する記述が見受けられます。

軍事と政治の両面での活動

秦の恵文君5年（紀元前333年）、公孫衍は大良造に任命され、その後すぐに魏に派遣されます。彼はそこで秦と魏の間の戦争に関与し、多くの軍事的成功を収めます。特に、魏の指揮官である龍賈との激闘では、魏軍は犠牲者を多数出し、結果として魏は大きな損失を被りました。これにより、魏の恵王は河西郡を秦に割譲せざるを得なくなります。

魏への帰属と合従の戦略

恵文君6年（紀元前332年）、公孫衍は魏に戻り、その後は魏の将軍として活動を開始します。彼の力は魏の国力が衰退する中で特に発揮されました。公孫衍は、周辺国と連携して魏が直面する脅威に立ち向かうべく、各国間の連合を推進しました。彼はまた、敵国を欺いて戦略的に有利な状況を構築しようとしました。

恵文王2年（紀元前323年）には、魏、韓、趙、燕、中山の五国を結集し、対等な立場で連盟を組む計画を立てました。しかし、その後の展開では、張儀の介入などによりこの試みは失敗し、魏の内政はさらに厳しくなります。

秦との政争と敗北

恵文王3年（紀元前322年）には、張儀が魏に転向して連衡策を進める動きが加速します。公孫衍は反旗を翻し、韓の宣恵王に対して南陽の割譲を進言します。彼の機知により、魏と秦の密接な関係が損なわれることになり、公孫衍はその功績により魏の恵王からの褒賞を得たとされています。

しかし、恵文王6年（紀元前319年）には、再びその立場が逆転します。張儀の復帰と新たな連合の結成によって、公孫衍は相国に任命され、魏として秦に対抗するための合従連盟の指揮を執ります。

恵文王7年（紀元前318年）には、公孫衍が指揮する合従軍が秦の函谷関を攻撃しますが、実際に参加した国は限られており、結果的に合従軍は敗北に終わります。

公孫衍の評価とその後の影響

公孫衍はその生涯を通じて、複雑な政局の中で戦略的選択をし続け、多くの国との外交を駆使しました。彼の取り組みは、戦国時代における国々の関係性を変える重要な役割を果たしました。彼の知恵や外交力は、後世に多くの教訓を残すこととなり、戦略家としての評価は高く、今日でもその名前は歴史に刻まれています。彼の時代の政治的な駆け引きや戦争は、後の時代における中国史に深い影響を与えたのです。

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