公示送達

公示送達（こうじそうたつ）

公示送達とは、宛先の人が不明の場合や住所がわからない場合、さらには相手が海外に居住していて文書の送付ができない場合に、法的にその送付が行われたとみなす手続きのことです。この手法は、日本の民法第98条や民事訴訟法の規定に基づいて実施されます。

概要

日本において、公示送達の方法は民法第98条で明記されており、さらに民事訴訟法の第110条以降で具体的な条件や手続きが規定されています。実際に公示送達を利用する場合、一般的な文書を送るのではなく、簡易裁判所に対して申立を行う必要があります。この際、相手方が不明であれば申立者の住所地を管轄する簡易裁判所、相手の居場所が不明な場合は相手の最後の住居地を管轄する裁判所に申立てを行います。

まず、公示送達を行うためには、その文書が裁判所の掲示に一定期間掲示される必要があり、さらにその掲示の内容を官報に1回以上掲載することで送達が成立したとみなされます。なお、官報への掲載に代えて、地方自治体の役場などに掲示を命じる裁判所の判断も可能です。

公示送達が必要とされる場合

訴訟や競売の手続きにおいて、債務者や所有者に対して文書を送達することが求められますが、相手が行方不明の場合には、公示送達の申立を行わなければなりません。この場合、指定された期間に裁判所で掲示された文書は、送達が行われたものと認められます。重要なのは、日本の刑事訴訟法においては公示送達は許可されていない点です。また、国税に関しては別途法律が適用されるため、国税通則法第14条に基づき公示送達が認められます。

公示送達が行われる条件

公示送達が可能とされるのは、主に以下のような状況です：
1. 当事者の住所や居所が不明な場合。
2. 書留郵便などの通常の手段で送達できない場合。
3. 海外において送達が必要な場合で、現地の官庁や駐在大使館に依頼しても成果が得られない場合。
4. 海外の官庁に依頼後、6ヶ月以上経過しても送達証明が得られない場合。

手続きの流れ

公示送達を行うための主な手続きは、原則として当事者からの申立てによります。具体的には、申立書に加えて住所を証明するための住民票や戸籍附票、そのほか送達不可能性についての調査報告書を提出する必要があります。この際、裁判所書記官は関連書類を保管し、いつでも関係者に交付できるように裁判所の掲示板に掲示します。

掲示が開始されてから2週間（外国において送達が必要な場合は6週間）が経過した後、送達の効果が発生します。また、公示送達により呼び出された当事者は、一般的な欠席裁判の際に適用される擬制自白の原則からは除外されることが規定されています。

まとめ

公示送達は、相手が不明な場合に必要となる重要な法的手続きであり、適切に利用することで訴訟手続きにおける不都合を軽減できる手段です。各種法令に基づき、具体的な運用が行われており、法的な効力を持つことから、当事者はその概要や手続きについて十分理解しておく必要があります。

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