書留郵便

書留郵便とは

書留郵便は、郵便物の安全性を高めるための特殊取扱の一つで、一般書留、現金書留、簡易書留の3種類があります。これらのサービスは、郵便物の引受から配達までの過程を記録し、万が一の紛失や破損時には損害賠償を受けられる点が特徴です。書留は、重要な書類や現金を送る際に安心して利用できるサービスとして広く利用されています。

書留郵便の制度

書留郵便は、その厳格な取り扱いにより、郵便物の中で最も安全なサービスとされています。輸送中や配達中に紛失した場合、すぐに発覚する仕組みがあり、郵便局が責任を持って管理します。書留の利用は、主に重要書類、クレジットカード、現金、チケットなど、軽量な貴重品を送る際に適しています。

書留郵便と配達証明の関係

書留郵便と配達証明の関係は国によって異なります。日本では、配達証明は一般書留郵便物に加算料金を支払うことで付加できるオプションサービスです。一方、フランスやドイツなどでは、書留自体が配達証明を兼ねており、同一のサービスとして提供されています。アメリカやイギリスでも、書留と配達証明は別の特殊取扱として扱われています。

書留の名称の由来

書留という名称は、明治時代に郵便局員が差出票を書き留めていたことに由来します。差出票には、宛名と差出人の住所・氏名が記載されており、郵便事故の際に損害賠償金を受け取る差出人を特定するために用いられました。英語では「Registered mail」と訳されます。

日本における書留郵便

内国郵便の書留の種類

日本の内国郵便における書留は、一般書留、現金書留、簡易書留の3種類があります。2007年の郵政民営化以前は一般書留のみを指していましたが、民営化後はこれら3種類の総称となりました。

書留郵便には追跡番号が付与されており、簡易書留を除く書留は、引受から配達の中途過程までが記録され、郵便追跡サービスで追跡できます。また、万が一の毀損や紛失の場合には、損害要償額の範囲内で実損額が補償されます。受取には印章またはフルネームの署名が必要であり、対面での配達が原則です。ただし、2017年6月1日からは、特定の条件を満たす戸建て住宅に設置された宅配ボックスへの配達も可能になりました（現金書留を除く）。

一般書留

一般書留は、現金以外の重要な郵便物、簡易書留ではカバーできない5万円を超える損害要償額の郵便物、または郵便法で定められた貴金属や宝石を送る際に利用されます。このサービスでは、郵便物の引受から配達までの送達過程が詳細に記録されます。損害要償額は最高500万円まで設定可能で、特殊取扱料金は要償額に応じて変動します。

一般書留には、配達証明、引受時刻証明、本人限定受取、内容証明、特別送達などのオプションサービスを付加できます。

現金書留

現金書留は、現金を郵送する際に必須のサービスです。日本国内の有効な紙幣・硬貨のみが対象で、外国の紙幣・硬貨や失効した古銭は送れません。現金書留を利用せずに現金を郵送することは郵便法違反となり、罰金が科せられる可能性があります。現金書留の取扱いは一般書留と同様で、追跡記録や損害賠償が適用されます。損害要償額は最高50万円まで設定可能で、料金は要償額に応じて変動します。現金書留は、専用の現金封筒に入れて送る必要があり、この封筒には通信文を同封することも可能です。

簡易書留

簡易書留は、5万円以下の少額の金券類や、金銭的価値の低いクレジットカード、キャッシュカード、小切手、願書などの重要書類を送る際に利用されます。一般書留や現金書留と異なり、中継局での記録は行われず、追跡サービスの情報も引受局と配達局のみが表示されます。損害要償額は上限5万円で、特殊取扱料金は350円と低めに設定されています。簡易書留は、対面配達を希望するが、高額な補償は必要ない場合に便利です。

（参考）特定記録

特定記録は書留ではありませんが、郵便物の引受を記録し、受領証を発行します。配達は郵便受箱への投函となります。特殊取扱料金は210円で、速達などのオプションを付加しない限り、土日祝日の配達は行われません。

（参考）配達記録（廃止済）

配達記録は、2009年2月28日に廃止されたサービスです。引受と配達を記録する点では簡易書留とほぼ同じですが、損害賠償は請求できませんでした。簡易書留よりも安価だったため、大口顧客に利用されていましたが、採算性の問題から廃止されました。

内国郵便の書留の差出方法

一般書留・簡易書留・特定記録

これらの書留は、郵便物を窓口に持参し、発送方法を申し出ることで利用できます。速達や配達証明などのオプションサービスも同時に申し込むことが可能です。窓口で郵便物をスキャンするか、「書留・特定記録郵便物等差出票」に必要事項を記入して提出します。料金は、郵便切手で支払うか、現金またはキャッシュレス決済で支払います。

現金書留

現金書留は、専用の現金封筒（21円）に入れて送ります。封筒に現金を入れ、封を糊付けし、3か所に認印またはサインをします。窓口で金額を申告し、料金を支払います。

内国郵便の書留に付加できるオプションサービス

速達・配達日指定

すべての書留と特定記録郵便に付加できます。

配達証明

郵便物を配達した事実を証明する葉書を、配達局が差出人に送付するサービスです。一般書留および現金書留に付加できます。

引受時刻証明

郵便物の引受時刻を証明するサービスです。一般書留および現金書留に付加できます。

本人限定受取郵便

宛名の本人にのみ郵便物を配達するサービスで、家族や同居人は受け取れません。本人確認のレベルに応じて3つの型があり、それぞれ必要な本人確認書類が異なります。

内容証明

一般書留とした郵便物の内容を郵便認証司が証明するサービスで、配達証明と併用されることが多いです。

特別送達

一般書留とした郵便物を、民事訴訟法上の送達に利用するサービスです。

返信依頼郵便

一般書留とした第一種定形外郵便物にのみ利用できるサービスです。

欧米における書留郵便

ヨーロッパ

EU域内では、書留郵便の配達を営業日ごとに1日1回以上、建物に配達することが義務付けられています。

イタリアではPosta raccomandataが書留に相当し、法的有効なEメール制度も導入されています。フランスではLettre recommandéeが、ドイツではEinschreibenが書留に相当します。イギリスではRoyal Mail Special Delivery Guaranteedというサービスがあります。

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国では、Registered mailが書留に相当します。

国際郵便の書留類

国際書留

国際書留は、内国郵便の書留と同様に、引受と配達が記録されるサービスです。配達時に印鑑またはサインが必要で、追跡番号で追跡できます。国際書留は、海外へ重要な書類や小物を送るのに利用されます。損害賠償額は6,000円までです。

保険付

保険付は、6,000円を超える損害要償額を設定できるサービスです。国際郵便で貴重品を送る場合は、必ず国際書留または保険付を利用する必要があります。損害要償額は最高200万円まで設定できます（宛先国による）。保険付には、通常郵便物と国際小包があります。保険付通常は、引き受け後は国際書留と同様に扱われます。

国際書留・保険付に付加できる特殊取扱

受取通知

受取通知（A.R.）は、配達が完了したことを差出人に書面で報告するサービスです。受取人の受領印またはサインが記載された葉書が差出人に返送されます。

まとめ

書留郵便は、郵便物の安全性を高めるための重要なサービスであり、国内だけでなく国際郵便でも広く利用されています。目的に合わせて適切な書留の種類やオプションを選択することで、安心して郵便物を送ることができます。

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