六十里越

六十里越（ろくじゅうりごえ）

六十里越は、新潟県魚沼市と福島県南会津郡只見町を隔てる、標高863mの峠です。古くから越後と会津を結ぶ重要な街道でしたが、豪雪と険しい地形のため、通行困難な場所でした。

名前の由来

「六十里越」という名前は、実際の距離は約6里（約24km）であるにもかかわらず、その険しさから一里が十里にも感じられるほど長く険しい道のりであったことに由来すると言われています。また、中世まで東日本では一里が500mであったという説もあります。

歴史

六十里越は、古くから新潟県中越地方と福島県会津地方南部を結ぶ街道として利用されてきました。しかし、国内有数の豪雪地帯に位置し、雪崩や落石の危険性が高いため、通年通行は困難でした。

昭和時代に入り、道路改築と鉄道建設が進められ、1971年（昭和46年）には国鉄只見線（現在のJR只見線）が、1973年（昭和48年）には国道252号が開通し、交通の難所は大きく改善されました。これらの路線には、トンネルやスノーシェッドが数多く設けられています。

国道252号

国道252号の改築事業は、昭和初期に両県によって開始されましたが、太平洋戦争の影響で中断されました。戦後、主要地方道若松小出線と田島小出線の重複区間に指定され、1951年（昭和26年）に事業が再開されました。1958年（昭和33年）からは陸上自衛隊も加わり、改築が進められました。

1963年（昭和38年）には二級国道252号柏崎会津若松線に昇格し、1973年（昭和48年）9月に県境区間が開通しました。開通当初は一部区間が未舗装でしたが、順次舗装され、現在は全区間が舗装されています。2006年（平成18年）11月には、この区間に「六十里越 雪わり街道」という愛称が付けられました。

魚沼市側から緩やかな勾配で上り、六十里越トンネルを抜けると、只見町側は急峻な地形となり、田子倉湖を見下ろしながら急勾配を下ります。この県境区間は、冬季（11月中旬から5月中旬）は雪崩の危険があるため閉鎖されます。閉鎖解除前には、落石や土砂崩れによる路面や法面の損傷が見られることがあります。

トンネル

六十里越には、以下のトンネルがあります。

六十里越隧道（国道252号）：全長789.0m。1965年貫通、1973年竣工。トンネル付近の標高は760m。
白沢トンネル：全長375.0m。1982年竣工。
入間木隧道：全長236.0m。1958年開通。
田子倉沢隧道：全長50.0m。1958年開通。
苧巻岳隧道：全長119.7m。1958年開通。
下平隧道：全長40.0m。1958年開通。
田子倉第二隧道：全長70.1m。1957年開通。
田子倉第一隧道：全長126.0m。1955年開通。

橋梁

赤柴橋：全長30.3m。2004年度竣工。赤柴スノーシェッドとして覆道化されている。
あいよし橋

JR只見線

JR只見線は、六十里越を長大な六十里越トンネルと田子倉トンネルで貫いています。国道252号が冬季閉鎖となる期間中は、魚沼市と南会津郡を結ぶ唯一の交通手段となります。ただし、列車本数は少なく、豪雪による雪崩や土砂崩れの危険がある場合は、只見駅 - 大白川駅間で運転見合わせとなることがあります。

六十里越トンネル（JR只見線）

全長6,359m。1971年の只見線全通時に開通しました。JRの非電化路線では最長のトンネルであり、2021年には「只見線鉄道施設群」の一つとして土木学会選奨土木遺産に認定されました。

位置情報

六十里越トンネル（国道252号）：北緯37度18分16秒 東経139度13分02秒
六十里越トンネル（JR只見線）：北緯37度18分49.8秒 東経139度13分15.2秒

周辺情報

六十里越の近くには、八十里越という別の峠があります。八十里越は六十里越よりもさらに険しい地形であり、現在も自動車の通行が困難な区間があります。

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