六甲山町

六甲山町：六甲山系の自然と歴史が織りなす静かな町

神戸市灘区の北部に位置する六甲山町は、その名の通り六甲山系の山々に囲まれた地域です。郵便番号は657-0101。東灘区、北区と接しており、豊かな自然と静寂に包まれた環境が特徴です。

六甲山町の地理：国立公園に広がる9つの字

六甲山町は、一ケ谷、北六甲、シャクナゲ、東山の内西谷、南六甲、五介山、清水、中一里山、西谷山の9つの字に区分されています。その全域が国立公園に指定されており、手つかずの自然が残る、まさに自然豊かな場所と言えるでしょう。

六甲山町の歴史：昭和47年の編入と変遷

現在の六甲山町が誕生したのは1972年（昭和47年）のこと。東灘区、兵庫区、北区の一部が合併して灘区に編入された結果、六甲山町が形成されました。この編入により、灘区の面積は4割も増加したと言われています。特に東灘区からの編入地域は、財産区や財団法人の所有林が大部分を占め、六甲アイランドを除く埋立地の面積に匹敵する広さだったと記録されています。

1974年（昭和49年）には、一王山町、寺口町、水車新田の一部も編入され、現在の町域が確定しました。六甲山山頂付近は、明治時代後期から英国人アーサー・ヘスケス・グルームの別荘地として賑わいを見せ、別荘地が異なる行政区画にまたがっていた状況は、今回の編入によって解消されたと言えるでしょう。

六甲山山頂(約913メートル付近)には、古くからの歴史と信仰の痕跡が数多く残されています。吉祥院多聞寺の奥の院とされる場所や、仰臥岩、法道仙人や毘沙門天の伝承にまつわる紫雲賀岩（雲ヶ岩）、向か津姫＝瀬織津姫を祀る六甲比命神社など、歴史と神秘的な雰囲気を感じさせる場所が点在しています。六甲比命神社の磐座は、天然のものではなく縄文時代に作られた人工の磐座であるという説もあります。

六甲比命講によると、六甲比命神社は瀬織津姫を祭神とする神社の総本宮とされ、かつては廣田神社の奥宮、さらには伊勢神宮内宮別宮荒祭宮の奥宮でもあったと推定されているとのことです。また、1990年には六甲山町にある「アジサイの道」が平成2年度手づくり郷土賞（花と緑の手づくりふるさと部門）を受賞しています。

六甲山町の人口：変遷と現状

六甲山町の人口は、近年減少傾向にあります。令和3年（2021年）9月時点では、世帯数101世帯、人口198人（男性112人、女性95人）です。令和2年国勢調査（2020年10月1日）では、世帯数95世帯、人口184人でした。昭和63年（1988年）には、摩耶山町を含め、世帯数339世帯、人口702人だったことを考えると、大きな変化が見て取れます。

まとめ：静寂と歴史が共存する六甲山町

六甲山町は、豊かな自然と歴史的遺産を兼ね備えた、静かで魅力的な地域です。比較的人口が少ないながらも、独特の文化と歴史、そして美しい景観は、多くの人々を惹きつけてやみません。これからも、この地域の自然と歴史が大切に守られ、発展していくことを願っています。

参考文献

神戸市学会 編『新 神戸の町名』ISBN 978-4875212041
『東灘区25年』原田 健、東灘区役所（昭和51年）
* 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 竹内理三 編『角川日本地名大辞典 28 兵庫県』角川書店、1988年。ISBN 978-4040012803

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