兵庫開港要求事件

兵庫開港要求事件

兵庫開港要求事件は、1865年11月に発生した歴史的な出来事で、英仏蘭の連合艦隊が兵庫沖に侵入し、幕府に対して安政五カ国条約の遂行と兵庫の早期開港を求めたものである。この事件は、日本の外圧や外交の変化を象徴するものであり、幕末の動乱の中で重要な役割を果たした。

事件の背景

兵庫港はかつての大輪田泊で、1858年に結ばれた日米修好通商条約や安政五カ国条約に基づき、1863年からの開港が計画されていた。しかし、異人嫌いで知られる孝明天皇が兵庫の開港に対して強い反対を示したため、幕府は開港を5年間延期することを決定した。このため、開港は1868年に持ち越されることになった。

また、この時期には長州藩と外国の強国との間で下関戦争が勃発し、長州藩は敗北を喫して多額の賠償金を支払うこととなる。この戦争において、幕府は四カ国からの圧力を受け、賠償金の支払いか新たな提案をする必要に迫られていた。

要求の勃発

新任の英国公使ハリー・パークスは、この機会を利用して兵庫の早期開港を実現しようと画策した。他の連合国とも意見を一致させ、連合艦隊を派遣することとなった。この艦隊は、英仏蘭の艦船から構成され、1865年9月に横浜を出発し、兵庫に到着した。

幕府は老中を派遣し、四カ国の公使との交渉を試みるが、四カ国は強固な姿勢を崩さず、幕府が開港の許可を即座に得られないならば、京都御所に登ると脅迫した。圧力に屈した幕府はついに無勅許で開港を認める決断を下すが、その結果、藩主や多くの幕府関係者との間で大きな混乱を招くこととなった。

開港前後の混乱

その後も四カ国は改めて開港についての要求を繰り返し、幕府は早急な対応を迫られる。この間、孝明天皇は段階的に条約を批准したが、兵庫の開港については依然として許可が得られない状態が続いた。最終的に、慶応3年5月に徳川慶喜が天皇からの勅許を得て、1867年6月に兵庫の開港が実現することになる。

1868年1月には神戸が正式に開港したが、その直後に鳥羽・伏見の戦いが起こり、幕府の権威は急激に失われていく。この混乱の中で、幕府はついに崩壊の道を辿ることとなった。開港された兵庫での動乱と各国との緊迫した関係は、明治維新の流れを影響づける重要な要素となり、日本の近代化に向けた動きが加速することとなる。

まとめ

兵庫開港要求事件は、幕末の日本が外国の圧力に屈していく様子を如実に示したものであり、国際情勢の変化や内政の不安定さが如何に日本の未来に影響を与えたかを考察させる事件である。この事件が引き金となり、続く明治維新や日本の近代化が加速されることとなる。

もう一度検索