兵隊やくざ 俺にまかせろ

1967年（昭和42年）2月25日に公開された日本映画『兵隊やくざ 俺にまかせろ』は、大映株式会社によって製作された作品です。この映画は、俳優・勝新太郎が主演を務める人気シリーズ『兵隊やくざ』の劇場版として位置づけられています。

『兵隊やくざ』シリーズは、第二次世界大戦中の中国大陸を舞台に、型破りなやくざ出身の兵隊である大宮貴三郎と、知的なエリート兵士である有田上等兵という、全く異なる出自と性格を持つ二人の男がコンビを組み、軍隊内部や戦地で様々な騒動を巻き起こしながら活躍する物語が主軸となっています。階級社会である軍隊の不条理さや矛盾を痛快に描きつつ、二人の友情や人間ドラマ、そしてエンターテイメント性の高い活劇が魅力とされています。

本作『兵隊やくざ 俺にまかせろ』においても、その中心となるのは、豪快かつ破天荒な主人公・大宮貴三郎を演じる勝新太郎と、彼の相棒であり、大宮の行動を時に諫め、時に共に切り抜ける知的な有田上等兵を演じる田村高廣の二人です。対照的ながらも互いを補い合う彼らの息の合った演技は、シリーズを通して高い評価を得ています。

二人の主役を囲むキャスト陣も豪華です。物語の鍵を握る存在として、岩兼曹長役に内田良平、田沼参謀役に渡辺文雄といった実力派俳優が配されています。また、物語に華を添える桃代を長谷川待子、秀蘭を渚まゆみが演じています。他にも、竹内二等兵役に酒井修、仙場伍長役に早川雄三、張役に杉田康、荒山上等兵役に北城寿太郎、木崎隊長役に須賀不二夫、北沢軍曹役に上野山功一などが名を連ね、重厚な人間ドラマを支えています。その他、小山内淳、藤山浩二、大川修、橋本力、豪健司、竹村洋介、中原健、森田健二、九段吾郎、佐伯勇、山上友夫、佐山真次といった多くの俳優が兵士やその他の役柄で出演し、作品世界に厚みを与えています。慰安婦役として一条淳子、横江弘子、甲千鶴も出演しています。

製作スタッフにも、当時の大映を代表する面々が集結しています。監督は、シリーズ作品を多く手掛け、その演出手腕を発揮した田中徳三が担当しました。企画は久保寺生郎です。原作は有馬頼義の小説を基にしており、脚本は高岩肇が手掛けました。撮影監督は宗川信夫、録音は飛田喜美雄、照明は伊藤幸夫、美術は渡辺竹三郎がそれぞれ担当し、視覚的・聴覚的な面から作品世界を構築しています。音楽は鏑木創が手掛け、物語の展開や登場人物の感情を盛り上げています。編集は中静達治、助監督は帯盛迪彦、制作主任は渡辺俊策が務めるなど、各部門の専門家たちが集まり、本作の完成に貢献しました。

本作は、公開当時には『東京博徒』と同時上映されました。これは、当時の日本映画における定番であった二本立て興行の一環として公開されたことを示しています。娯楽作品としての側面が強く打ち出されており、戦時下という厳しい状況設定の中に、ユーモアやアクション、そして人間的な絆を描くことで、幅広い観客層に受け入れられました。

『兵隊やくざ 俺にまかせろ』は、勝新太郎と田村高廣による名コンビの魅力を存分に味わえる作品であり、シリーズファンにとっては見逃せない一本です。同時に、戦時下の人間模様を描いた娯楽映画として、今日でもその魅力は色褪せていません。

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