上野山功一

上野山功一：悪役俳優から政治家へ、そして福島の「コーモンチャマ」へ

上野山功一（うえのやまこういち、1933年3月7日-2023年1月22日）は、日本の俳優である。本名は上野山貢之介（こうのすけ）。東京市中野区沼袋に生まれ、日本大学藝術学部映画学科を中退した。

彼の父は、日本画壇の巨匠と称された洋画家、上野山清貢であった。幼少期は戦時中ということもあり、福島県三春町で疎開生活を送った。

俳優としてのキャリアは劇団手織座を経て、1958年に日活に入社したことから始まる。日活では、鈴木清順監督から「君はワルに向いている」と評されたことがきっかけで、悪役俳優としての道を歩むこととなる。1959年の映画『昼下がりの暴力』で正式にデビューを果たすと、その後、『刑事物語』シリーズなどで準主役級の悪役を演じ、日活暗黒街映画の常連俳優として活躍した。この頃には「ニヒルな殺し屋」というニックネームで知られるようになった。

1965年に日活を離れた後、大映に移籍し、『眠狂四郎』や『女賭博師』シリーズなどに出演。さらに、変名を用いて西原儀一監督のピンク映画にも出演するなど、精力的に活動を続けた。

1970年代からはテレビドラマを中心に活躍するようになり、特徴的な極太のモミアゲがトレードマークの悪役俳優として、刑事ドラマ、時代劇、特撮など幅広いジャンルの作品に出演。その濃厚なキャラクターと圧倒的な存在感で、視聴者に強烈な印象を残した。共演者からは、現場でのプロ意識の高さと人柄の良さについて高い評価を受けており、『イナズマンF』で共演した伴大介は「普段は段取りの話をする程度だったが、現場での呼吸はピッタリだった」と語り、『超神ビビューン』で共演した荒木しげるは「（上野山が）中心となって食事や遊びに行ったり、気遣いのおかげで仲良くやれた」と述懐している。

1989年には演劇集団「野の会」を結成。父を題材にした演劇『流転』を三百人劇場で公演し、政治家・鳩山一郎を演じるなど、活動の幅を広げた。この頃から高齢者の福祉を目的とした大衆演劇に関心を持ち始め、「野の会」で中野の史実を題材にした大衆演劇を上演、高齢者を無料招待するなど、地域社会貢献にも積極的に取り組んだ。1995年と1999年には、高齢者向けの大衆演劇劇場建設を公約に中野区議会議員選挙に立候補するなど、中野を拠点とした小劇場設立という夢を追い続けた。さらに、JR中野駅南口ではパフォーマンススナック「カチンコ」を経営するなど、多方面で精力的に活動していた。

1999年には、妻の母親の介護のため福島県福島市に転居。福島市内で居酒屋を経営する傍ら、OV作品にも出演し、俳優としての活動を継続。自ら「福島のコーモンチャマ」と名乗り、腹話術を使ったトークショーなども行い、地元住民との交流を深めた。

2023年1月22日、胃がんのため福島市の介護施設で死去。89歳没。

彼の生涯は、悪役俳優としての成功にとどまらず、演劇、政治活動、地域貢献など、多岐にわたる活動で彩られた、実に波瀾万丈なものであった。その生き様は、多くの人の心に深い感銘を与え続けている。

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