内山完造

内山完造の概略

内山完造（うちやま かんぞう、1885年1月11日 - 1959年9月20日）は、日本の書店経営者であり文化人として知られています。彼は1930年代以降、中華民国と日本の二国で書店を開き、日中の文化人交流を進める上で重要な役割を果たしました。彼の経営する「内山書店」は、現在も東京の神田神保町で多様な中国やアジア関連書籍を提供しています。内山は岡山県の芳井村で生まれ、村長の家族に育ちました。

幼少期から上海への渡航

内山は高等小学校を4年で中退し、京都や大阪の商家で約10年間は店員として働きました。1913年3月には上海へ渡り、キリスト教会の牧師を通じて参天堂の出張販売員に就職しました。この仕事を通じて、彼は中国の人々、特に苦力や商人との交流を深め、彼らの労苦を理解しました。また、彼は個人の信用を重視する中国の文化に感銘を受け、自らの価値観に影響を与えました。

書店の開設と成長

内山は妻・井上美喜子と結婚後、自宅で簡素な書店を開業し、初めはキリスト教関連書籍のみを扱っていたものの次第に品揃えを増やしていきました。1929年、書店は施高塔路に移転し、商業的にも成功を収めるようになりました。1930年には書店経営に専念し、やがて「内山書店」は上海で最も著名な日本書書店となりました。

文化人交流の拠点

内山書店は1920年から文化人との交流を深め、特に上海YMCAが主催する夏期講座を通じて、森本厚吉や成瀬無極などの著名な講師を迎えました。この交流の場は、日中文化人たちの集まる社交の場となり、その後「文芸漫談会」と呼ばれるようになりました。

魯迅との関係

1927年、魯迅が内山書店を訪れた際、彼との第一次的な接触がありました。内山は魯迅と徐々に親交を深め、彼が上海で過ごす際には連絡役や支援者の役割を果たしました。魯迅の死去の際も内山は深い悲しみに包まれ、彼の言葉が内山の著書『生ける支那の姿』に序文として残されています。

戦後の活動と書店のブランド

1935年には日本で内山書店を開業し、東京や世田谷で店舗を運営しましたが、第二次世界大戦後には上海の書店が閉鎖されました。1947年に帰国後、彼は中華人民共和国成立以降も文化交流を続け、日中友好協会の理事長に就任するなど積極的に活動しました。

内山完造は、彼の生涯を通じて文化の架け橋としての役割を果たし続けました。1959年、彼は中国で倒れ、病院で息を引き取りました。

影響と遺産

内山の著作には、自伝的な『花甲録』があり、彼の人生や体験を詳細に記しています。彼の活動は今なお、日中の文化交流に多大な影響を与え続けています。内山書店は現在も運営を続け、彼の理念は後世に受け継がれています。

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