内山惣十郎

内山惣十郎

内山惣十郎（うちやま そうじゅうろう）は、1897年（明治30年）12月19日に東京府で生まれ、1973年（昭和48年）2月6日に75歳で亡くなった日本の演出家、劇作家、脚本家、作詞家、そして俳優です。本名は竹内壮治（たけうち そうじ）と言います。彼は、浅草オペラの黎明期からその発展に大きく貢献し、多岐にわたる分野で才能を発揮しました。

浅草オペラ時代

内山惣十郎は、1920年（大正9年）に根岸吉之助が組織した「根岸大歌劇団」の立ち上げに参加し、22歳という若さでその活動をスタートさせました。浅草公園六区にあった金龍館を拠点とし、俳優としての活動はもちろんのこと、舞台装置や演出も担当しました。この時期、浅草オペラは非常に活況を呈していましたが、1923年（大正12年）の関東大震災によって、浅草六区の興行街は壊滅的な被害を受け、浅草オペラもその終焉を迎えることになりました。

映画界への転身

関東大震災後、多くの映画関係者や演劇関係者が関西へと拠点を移す中、内山も帝国キネマ芦屋撮影所へ移籍しました。1924年（大正13年）には、若山治監督のサイレント映画『恋慕地獄』で脚本家としてデビューを果たしました。その後、彼は東京に戻り、浅草六区にあった電気館のレビューの台本を執筆しました。

昭和期の活躍

1931年（昭和6年）には、榎本健一のレコード『カフェー・ナンセンス』の作詞を担当し、作詞家としてもその名を広めました。1934年（昭和9年）には、日本劇場の演出部長に就任し、舞台演出の分野でも重要な役割を果たしました。

第二次世界大戦終結後は、放送台本の執筆にも携わり、活動の幅をさらに広げました。1958年（昭和33年）には、日本テレビ製作のテレビドラマ『新吾十番勝負』の脚本を担当し、テレビ映画の世界にも進出しました。

その他の活動

内山惣十郎は、映画や舞台、テレビドラマの脚本だけでなく、著述家としても活動しました。彼の著作には、『浅草オペラの生活』、『明治はいから物語』などがあり、当時の文化や生活を詳細に記録しています。また、『落語家の生活』や『浪曲家の生活』といった、日本の伝統芸能に関する著作も残しています。

フィルモグラフィー

サイレント映画

1924年6月26日公開 『恋慕地獄』 - 脚本
1924年10月10日公開 『恋の勇者』 - 原作
1925年4月9日公開 『或る兄弟』 - 脚本
1927年2月27日公開 『結婚哲学』 - 原作
1931年7月7日公開 『ゴー・ストップ』 - 原作

テレビ映画

1958年12月2日 - 1960年3月29日放送 『新吾十番勝負』 - 脚本
1960年4月7日 - 同年12月29日放送 『水戸黄門漫遊記』 - 原作
1961年10月19日・26日放送 『人生の四季』第21回・第22回『真珠』前編・後編 - 脚本

ビブリオグラフィー

『浅草オペラの生活』、雄山閣出版、1967年
『明治はいから物語』、人物往来社、1968年
生活史叢書22『落語家の生活』、雄山閣出版、1971年
生活史叢書29『浪曲家の生活』、雄山閣出版、1974年

関連事項

浅草オペラ
根岸大歌劇団
金龍館

外部リンク

内山惣十郎 - 日本映画データベース
* Sôjûrô Uchiyama - IMDb（英語）


内山惣十郎は、浅草オペラという華やかな舞台から、映画、演劇、テレビ、そして文筆の世界へと多岐にわたる分野でその才能を発揮し、日本のエンターテインメント史に確かな足跡を残しました。彼の多彩な活動は、後世に大きな影響を与え続けています。

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