内海敏彦

内海 敏彦（うつみ としひこ）氏は、1965年5月9日生まれの日本の元俳優および声優です。出身地は東京都世田谷区ですが、両親が懇意にしていた産科があったため、出生は大阪府箕面市でした。かつては太陽プロモーションに所属していました。

内海氏の芸能活動はCM出演から始まりました。4歳の時、テレビドラマ『新・女の絶唱』にて、自閉症の子供という難しい役柄で俳優としてデビューを果たします。この際の演技は、海外ドラマ『ドクター・ウェルビー』の日本語版ディレクターの目に留まりました。ディレクターは同作に登場する自閉症の少年役の吹き替えを探しており、内海氏にオファーを出したことが、彼が声優業も行うようになる直接の契機となりました。

以降、内海氏は子役としても声優としても活躍。その持ち味であるボーイソプラノの声質を活かし、数多くの作品で少年役を中心に演じました。しかし、思春期にあたる1980年頃に声変わりを迎えた時期を境に、目立った活動は確認されておらず、現在は芸能界を引退していると考えられています。

内海氏の趣味は多岐にわたり、バレーボール、読書、水泳、ピアノ、旅行を挙げていました。また、将来は役者として歩んでいきたいという強い志を持っていた時期もあります。

彼の仕事ぶりについては、プロフェッショナルなエピソードが残っています。ドラマの撮影現場やアフレコ収録において、与えられた台詞は事前にすべて丸暗記し、本番の現場に台本を持ち込まなかったといいます。さらに、自身のセリフを言うタイミングを正確に掴むため、共演者の台詞までも記憶していたという驚くべき能力の持ち主でした。この徹底した準備と驚異的な記憶力は、当時の関係者からも高く評価されていました。

具体的には、演出家の鈴木清氏は、内海氏を「素晴らしい記憶の能力を持った、芝居の上手い子ども」と評し、「僕らスタッフは彼に『役者として大成して欲しいな』という想いがあった」と語っています。また、音響監督の勝田久氏も、彼のことを「非常に勘の良い少年だった」と称賛しています。

内海氏が短期間の活動ながら参加した作品は多岐にわたります。テレビドラマでは、『一心太助』（弥吉役）、『大江戸捜査網』シリーズ、特撮作品では『スーパーロボット レッドバロン』（藤堂ツトム役）、『スーパーロボット マッハバロン』（小杉健一役）、『少年探偵団』（オウム役）、『小さなスーパーマン ガンバロン』（ケンダマ役）などに出演しました。

アニメーションでは、主人公スターリング・ノースの声を担当した『あらいぐまラスカル』が特に有名です。その他、『妖怪伝猫目小僧』、『SF西遊記スタージンガー』（キュート役）、『がんばれ! ぼくらのヒット・エンド・ラン』（遠藤蘭役）などの作品に参加しています。

吹き替え分野では、イギリスの元子役俳優であるマーク・レスター氏の代表作『小さな恋のメロディ』（ダニエル役）のNET版をはじめ、『小さな目撃者』、『黒馬物語』、『野にかける白い馬のように』など、彼の少年期・青年期の多くの役の日本語音声を担当しました。海外の映画やドラマ、アニメにおいても、『赤鼻のトナカイ ルドルフ物語』（ルドルフ役）、『子鹿物語』（フォダウィング役）、『鉄道員』（サンドロ役）、『ドリトル先生不思議な旅』（トミー役）など、印象的な少年キャラクターの吹き替えを数多く務めています。

俳優としても声優としても、その卓越した才能とプロフェッショナルな姿勢を見せた内海敏彦氏は、日本のエンターテインメント界に確かな足跡を残した子役の一人と言えるでしょう。

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