ドリトル先生不思議な旅

ドリトル先生不思議な旅：動物と話せる医者の壮大な冒険

1967年、アメリカで公開されたミュージカル映画『ドリトル先生不思議な旅』は、ヒュー・ロフティングの児童文学作品『ドリトル先生』シリーズを基に制作されました。原作の複数の作品から要素を採り入れ、独自のストーリーが展開されています。アカデミー賞では視覚効果賞と歌曲賞を受賞するなど、高い評価を受けました。

魅力的なキャラクターと、原作へのオマージュ

レックス・ハリソンが演じるドリトル先生は、原作とは異なり、菜食主義で色気のある人物として描かれています。動物と会話できる変わり者として、周囲からは奇異の目で見られていますが、心優しく、動物たちを深く愛する人物像が魅力的です。 日本版では、宝田明による吹き替えが放送され、多くの人々に親しまれました。

共演者にも、リチャード・アッテンボローなど、豪華な顔ぶれが勢揃い。原作でおなじみの犬のジップやアヒルのダブダブに加え、『ドリトル先生アフリカゆき』の一角獣のような白い動物「オシツオサレツ」、 『ドリトル先生航海記』の巨大なカタツムリ「大海かたつむり」、そして『ドリトル先生月へ行く』に登場する巨大な蛾など、様々な作品から印象的なキャラクターが登場します。それぞれのキャラクターが、映画の世界観に奥行きを与えています。

予測不能な冒険と、感動的な結末

物語は、動物と話せるドリトル先生が、裁判所から精神病院に入れられそうになることから始まります。理解者であるトミー少年と猫肉屋のマシューの助けを借りて脱出したドリトル先生は、アフリカへの船旅に出発。そこで出会うのは、不思議な漂流島とその住民たちです。戦争ばかり繰り返す島民たちを、ドリトル先生は自身の知恵と動物たちの力を借りて平和へと導き、島を元の大陸と合体させることに成功します。島民たちは先生を王様として迎えようとするも、自由を愛するドリトル先生は「大海かたつむり」の甲羅に乗ってイギリスへ帰っていくのです。この冒険の結末は、一見突拍子もないものですが、先生の人間像と、彼を取り巻く世界観を象徴する、感動的なシーンとなっています。

商業的な成功と失敗

映画は、その独特の世界観と豪華な制作にも関わらず、興行的には大きな失敗に終わりました。映画に合わせたマーチャンダイズ商品も販売されましたが、こちらも不振に終わったようです。しかし、映画は、その高い芸術性と独特の世界観から、現在でも多くのファンに愛され続けている名作の一つとなっています。公開当時には、ソノシート版も発売され、若林一郎による脚本、中西立太による挿絵など、多方面から高い関心を集めていました。

まとめ

『ドリトル先生不思議な旅』は、動物と人間の交流、冒険、そして平和への願いを描いた、美しく、そして感動的な作品です。原作の要素を巧みに織り交ぜ、独自の解釈で描かれたドリトル先生と、彼を取り巻く個性豊かなキャラクターたちは、今もなお観る者の心を掴んで離しません。興行成績は振るわなかったものの、その芸術的な価値は高く評価されており、映画史に残る名作として、長く記憶され続けることでしょう。

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