内藤政成

内藤政成

内藤政成（ないとう まさしげ）は、江戸時代後期の大名であり、三河国挙母藩の第4代藩主を務めました。官位は従五位下・兵部少輔。挙母藩内藤家8代当主にあたります。特筆すべきは、幕末の政局を主導した井伊直弼の実兄であるという点です。

生涯

享和2年（1802年）2月6日、内藤政成は近江国彦根藩主・井伊直中の八男として生を受けました。文化9年（1812年）11月22日、3代藩主・内藤政峻の養子となり、翌文化10年（1813年）2月27日に政峻の隠居により家督を継承し、挙母藩主となりました。

藩主就任直後の5月には、藩財政再建を目指して5ヵ年の倹約令を発令しました。しかし、文化12年（1815年）4月には、倹約令を3ヵ年緩和する代わりに家臣の家禄削減を断行。さらに、自身の藩庁を藩校に移すなど、徹底した経費節減に努めました。文政元年（1818年）には、当時としては先進的なオランダ軍制を導入しています。

文政3年（1820年）1月15日、藩政改革派の竹村梅斎によって、専横な振る舞いがあったとされる津村吉徳が暗殺されるという事件が起こりました。この事件は、藩内の政治対立が激化していたことを示唆しています。

文政4年（1821年）7月には、諸費倹約を目的とした25条からなる藩法を制定し、文政5年（1822年）にはさらなる家禄削減を実施しました。文政9年（1826年）には、自らの衣食住を節減し、生活費用の切り詰めを行うなど、率先して倹約に励みました。しかし、天候不順や矢作川の洪水といった天災が相次ぎ、財政改革は思うように進展しませんでした。失意のうちに政成は、文政13年（1830年）9月20日、実弟の政優を養子に迎え、家督を譲って隠居しました。この養子縁組は、養子を迎える際の持参金を目的としたものであり、その資金は挙母藩の借財整理に充てられました。

隠居後は晃堂と号しました。桜田門外の変で弟・井伊直弼が暗殺された後を追うように、万延元年（1860年）3月30日に死去。享年59歳でした。

政成の十二男である内藤政共は、廃藩置県後に養子として旧挙母藩主家を相続し（挙母藩内藤家当主としては12代目）、後に子爵に叙せられました。

系譜

実父：井伊直中
実母：八千女（勅使河原氏、側室）
養父：内藤政峻
正室：内藤甲子（内藤政峻の長女）
側室：万、志津、久弥、初（宇野氏）、津麻（木村氏）
子女
内藤政正（長男）
内藤政又（次男、生母は甲子（正室））
内藤政和
内藤政就（四男）
内藤政共（十二男、内藤文成の養子）
松平康圭正室（内藤政優の養女）
内藤鶴子（中山信徴正室）
養子・養女
内藤政優（井伊直中の十三男、実弟）
内藤増子（寛寿院、内藤政文正室、内藤政又の娘）

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