内間木洞

内間木洞（うちまぎどう）

岩手県久慈市山形町に位置する内間木洞は、総延長6,350mを誇る日本で5番目に長い鍾乳洞です。龍泉洞や安家洞と同じく、久慈市から岩泉町にかけて広がる安家石灰岩帯に属しています。この鍾乳洞は、中生代三畳紀に堆積した石灰岩が、その後の地殻変動によって隆起し、長い年月をかけて雨水や地下水によって侵食され形成されました。1962年8月の調査で全貌が明らかになり、その保存状態の良さが確認されています。

生物多様性の宝庫

内間木洞は、ただの鍾乳洞ではなく、多様な生物が生息する重要な場所です。特に、絶滅危惧種II類に指定されているテングコウモリを含む7種のコウモリや、トビムシ、ナガコムシといった原始的な昆虫類が生息しています。これらの貴重な動物群を含め、「内間木洞及び洞内動物群」として岩手県指定天然記念物となっています。

地質学的価値

地質学的にも貴重な内間木洞は、三陸ジオパークのジオサイトにも選定されています。この地域特有の地質や地形が、訪れる人々に地球の歴史を物語っています。

洞内の特徴

洞内には「千畳敷」と呼ばれる巨大な空間をはじめ、北洞、南洞、稲妻洞、風寒洞の4つの主洞と、さらに多くの支洞が存在します。また、鍾乳石が作り出す造形美も見どころの一つで、巨大な滝のように見える「大瀑布」や、富士山を思わせる「内間木富士」といった名所があります。

冬季の氷筍

冬になると、天井から滴り落ちる水滴が凍り、地面から筍のように伸びる氷筍が形成されます。この氷筍は、大きなものになると2メートル以上にもなり、洞内の幻想的な風景を彩ります。

保護と公開

内間木洞は、その貴重な生態系を守るため、通常は研究や教育目的以外での立ち入りが制限されています。しかし、年に2回、一般公開の機会が設けられています。2月第2日曜日の「氷筍観察会」と、7月第2日曜日の「内間木洞まつり」では、一般の方々も洞内を見学することができます。

外部リンク

* 岩手県久慈市内間木洞の環境と生物 -『岩手県立博物館研究報告』第28号、2011年3月。

内間木洞は、その美しい景観と多様な生物が生息する貴重な自然遺産として、訪れる人々を魅了し続けています。

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