再臨運動

再臨運動について

再臨運動（さいりんうんどう）は、1917年から1918年に日本で行われた、福音派を中心としたプロテスタントの超教派の運動です。この運動は、当時のキリスト教界において大きな影響を与えました。

背景

この運動の背景には、無教会派の内村鑑三の思想が深く関わっています。彼は1912年に娘の死を経験し、1918年ごろには再臨に対する確信を得ていました。また、日本ホーリネス教会の設立者である中田重治も、四重の福音を基に再臨を強調していました。特に1917年末、中田はアメリカの神学者ウィリアム・ユージン・ブラックストンの著作『耶蘇は来る』を日本語に翻訳し、広めました。彼は1918年の新年聖会で再臨の重要性について講演を行い、信者たちの関心を集めました。

主要な協力者

内村と中田の二人は同じ柏木地区に住んでいたものの、これまでの関係は薄かった。しかし、柏木で発生した火事をきっかけに彼らは知り合い、再臨信仰への共通の使命を認識することで、急速に近づき、協力し始めました。また、巡回伝道を行っていた木村清松や武本喜代蔵、留学帰りの平出慶一なども加わり、超教派の運動として再臨運動が展開されました。

運動の展開

再臨運動は、1918年1月6日に神田YMCAで開催された「聖書の予言的研究講演会」で本格的に始まりました。この会では内村が自身の経験に基づき再臨の信仰を語り、聴衆は熱心に耳を傾けました。その後も複数回の講演会が行われ、大阪や京都でも再臨に関する講演が実施され、集まった人数は1200人を超えました。

その後、神田バプテスト中央会館や他の教会においても、合同での研究講演会が続きました。講師陣には日本ホーリネス教会の中田や無教会派の坂田が参加し、多くの信者が再臨に関する知識を深めました。

反対の声

この運動に対しては、一部の神学者たちが批判の声を上げました。海老名弾正や今井三郎らは、「神学論評」や「基督教世界」といった雑誌を通じて、再臨運動に対する反対意見を述べました。

運動の終結とその後

1918年10月には岡山で再臨講演会が行われ、その後神田YMCAでの大会も続いたのち、1919年1月に内村が最後の講演を行いました。それ以降、彼は熱狂的な運動から距離を置くことになりましたが、生涯を通じて再臨への信仰は持ち続けました。一方、関西地方においてはホーリネス・リバイバルが起き、教会の信仰活性化が促されました。

この運動が登場した背景には、第一次世界大戦によって西欧の文明が揺らいだこと、科学や合理主義に対する反省がありました。再臨運動は、多くの教会に影響を与え、信仰の復興を促す重要な出来事として位置付けられています。

参考文献

• - 中村敏『日本における福音派の歴史』いのちのことば社、2000年
• - 中村敏『プロテスタント宣教史』いのちのことば社、2009年
• - 米田勇『中田重治伝』中田重治伝刊行委員会、1959年

外部リンク

• - ハーベスト・タイム・ミニストリーズ - 再臨運動を行っている福音派の団体

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