冷水町 (鹿児島市)

鹿児島市冷水町：湧水が育んだ歴史と生活

鹿児島市の中部に位置する冷水町は、その名の通り冷たい湧水に由来する町名を持ちます。古くからこの湧水は生活用水として利用され、町の歴史と深く結びついてきました。ここでは、冷水町の地理、歴史、人口、施設について詳しく見ていきましょう。

地理

冷水町は鹿児島市の中央部に位置し、北から東にかけて西坂元町、東南は下竜尾町、南は長田町、西は城山、北西は玉里町と隣接しています。町域の西部には、江戸時代に藩主によって建設された冷水水源地があります。この水源地は、約1,345mに及ぶ石管やトンネルを用いて、鹿児島城への送水を行っていました。また、余った水は城下の人々の生活用水としても利用され、町の発展を支えました。

町名の由来

「薩隅日地理纂考」によれば、冷水町の名前は「囲一間三尺許なる円き石の井筒をおき清泉某の底より湧出す、深さ四尺許りなり、四時増減なく冬暖くして夏冷なり地名を冷水という」と記されている通り、冷たい湧水が湧き出ていることに由来します。この湧水は、藩主であった島津継豊の時代に水道として整備され、大正時代まで利用されていました。

歴史

冷水町は、明治初期には鹿児島府下に属し「冷水通町」と呼ばれていました。1889年（明治22年）の市制施行により鹿児島市の一部となり、その後、1899年（明治32年）に「冷水町」に改称されました。1976年（昭和51年）には城山地区で住居表示が実施され、町域の一部が再編されました。さらに、1983年（昭和58年）には冷水・玉里地区で住居表示が実施され、一部が坂元町に編入されたり、西坂元町が設置されたりと、町域の変更が重ねられてきました。

人口

2020年10月1日現在、冷水町の人口は924人、世帯数は491世帯です。1995年以降の人口推移を見ると、世帯数は微増傾向にありますが、人口は減少傾向にあります。これは、少子高齢化の影響が考えられます。

施設

冷水町には、地域住民の交流の場である冷水町公民館があります。また、マジオドライバーズスクール鹿児島校があり、地域の住民が自動車免許を取得する際に利用されています。小・中学校の学区については、市立の学校が指定されています。

まとめ

冷水町は、豊かな湧水に恵まれた歴史ある町です。水道施設の整備や住居表示の実施を経て、現在の形に至っています。人口は減少傾向にあるものの、地域住民の生活を支える施設も整備されており、静かな住宅地としての一面を持っています。この町は、自然と歴史が調和した、魅力的な地域と言えるでしょう。

参考資料

鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅱ』 2巻、鹿児島市、1970年3月25日。
南日本新聞『鹿児島市史Ⅳ』 4巻、鹿児島市、1990年3月15日。
「角川日本地名大辞典」編纂委員会「角川日本地名大辞典 ４６ 鹿児島県」『角川日本地名大辞典』第46巻、角川書店、日本、1983年3月1日。
有田忠雄、河口貞徳、村田凞、稲葉行雄、村野守治、四本健光、紀野健一郎『鹿児島のおいたち』鹿児島市、1955年。
* 木脇栄『かごしま市史こばなし』南日本新聞開発センター、1976年。

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