函岳

函岳：道北の雄峰とアイヌの伝承が織りなす山物語

北海道北部、中川郡美深町、中川郡音威子府村、枝幸郡枝幸町の3町村にまたがる函岳(はこだけ)は、標高1,129.3mを誇る山です。山頂には一等三角点が設置され、北海道百名山にも選定されているその雄大な姿は、多くの登山家を魅了しています。

北見山地の主峰：絶景を望むパノラマ

函岳は北見山地を構成する山々のひとつであり、道北地方では屈指の高峰として知られています。利尻山を除けば、函岳よりも北に位置する山でこれより高い山は存在しないため、山頂からは広大な眺望を楽しむことができます。なだらかな山容が特徴的で、その大きさはまさに圧巻です。

アクセスと山頂施設：快適な登山体験

函岳へのアクセスは比較的容易です。美深町から歌登町へと続く約40kmの道北スーパー林道が整備されており、この林道は加須美峠を経由して函岳山頂手前の函岳ヒュッテまで伸びています。そのため、車を利用して山頂付近までアプローチすることが可能です。ただし、林道は未舗装区間が多いため、走行には注意が必要です。また、冬季閉鎖や悪天候による通行止めにも注意が必要です。山頂には函岳レーダー雨雪量観測所が設置され、気象観測も行われています。

山名の由来：アイヌの伝承と「函」に似た岩

函岳という名前は、和名です。アイヌ語名は諸説あり、「ペペケナイエトコ（ペペケナイ川の行き着く先）」という説や、「シュポペルシケ山（函そこに立っている者）」という説があります。後者の説では、山頂部に「函」を思わせるような岩の露頭があることが由来だと考えられています。和名もこの岩に由来すると言われています。

興味深いのは、アイヌの伝承です。昔、大津波が襲来した際、人々は舟に乗って函岳山頂へと避難しました。山頂はわずかに水面から出ていたため、難を逃れることができたと伝えられています。そして、その際に舟に積まれていた宝物が入った函が、そのまま岩になったという伝説が残されています。この伝説は、函岳の神秘性を一層引き立てています。

登山ルート：四季折々の魅力

函岳登山は、道北スーパー林道を利用することで容易に山頂付近までアクセスできます。しかし、冬季は林道が閉鎖されるため、クトンベツ沢川支流のトヨンミス川から山頂西側の尾根を登るルート、または咲来峠からパンケサックル川沿いを経て山頂北西側の尾根を登るルートなどが利用されます。冬季は、函岳北側の屋根棟山を訪れる登山家もいるようです。四季を通じて異なる表情を見せる函岳は、変化に富んだ登山体験を提供してくれます。

まとめ：自然と歴史が融合する山

函岳は、雄大な自然とアイヌの豊かな伝承が織りなす、魅力的な山です。容易なアクセスと、山頂からの絶景は、多くの登山家を惹きつけます。道北地方を訪れる際は、ぜひ函岳に登り、その壮大な景色と歴史に思いを馳せてみてください。 その神秘的な伝説と、変化に富む登山ルートは、忘れられない思い出となるでしょう。

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