分節胞子嚢

分節胞子嚢についての詳細

分節胞子嚢（ぶんせつほうしのう）とは、接合菌類における特異な胞子の構造で、全体が複数の節に分かれながら散布される特徴があります。この構造は、特に接合菌の一部に見られ、細かい胞子を形成する過程が独特です。

構造の特徴

分節胞子嚢は、英語で「merosporangium」と呼ばれ、接合菌の内部に見られる特殊な胞子嚢です。一般的に、胞子嚢が細長い棒状になり、全体が分節されている特徴を持ちます。代表的な種としては、ケカビ目に属するハリサシカビモドキ（Syncephalastrum）があり、このカビは、発達した菌糸体を形成することで知られています。

ハリサシカビモドキでは、上に伸びる柄の先端部分が膨らみ、頂部に頂嚢を形成します。頂嚢の表面には、分節胞子嚢が取り付けられ、初期段階では棒状の突起が生成されます。時間が経つにつれて内部の細胞質が分かれ、細胞が並ぶことで成熟した胞子嚢が形成されます。この胞子が成熟すると、その壁が破れ、胞子はばらばらに散布されます。

このカビの観察では、分節胞子嚢柄の先端に깔った胞子が数珠のように並んでいるため、コウジカビと間違われることもあります。しかし、コウジカビは芽生えによって分生子を形成するため、検査すれば容易に見分けることができます。

他の例

ハリサシカビモドキ以外にも、分節胞子嚢はトリモチカビ目に属するエダカビ（Piptocephalis）やハリサシカビ（Syncephalis）に見られます。これらのカビは、主にケカビ目菌類に寄生し、細長い菌糸を伸ばします。分節胞子嚢柄は、主に分枝を持たず、根本に仮根状の菌糸が存在し、頂部には頂嚢がついています。この分節胞子嚢の形状や配置は、種によって異なりますが、エダカビは分節胞子嚢柄が数回分枝している点が特徴的です。

さらに、ディマルガリス目のクラスタにも分節胞子嚢が存在し、3属ほどが確認されています。これらはいずれもケカビ類に条件的に寄生する菌です。胞子形成部分は枝分かれしており、先端の2つの節が胞子になります。

なるほど、キクセラ目では単胞子の分節胞子嚢が形成されています。これに属するいくつかの科では胞子形成のための横枝を出し、スポロクラディアと呼ばれています。これらの細胞から出芽して形成された胞子は、単細胞ながらそれぞれ一つの胞子を含む分節胞子嚢を作ります。

系統関係

これらの4つのグループは、以前はケカビ目に分類されていましたが、系統的な調査によって独立した位置に分類されるようになりました。しかし、構造上の共通点は興味深く、これらの胞子嚢の形態的共通性が興味深い発見となっています。

また、トリモチカビ目に属するヘリコケファルムもかつてはケカビ目に類似していたため、胞子の性質についても議論がなされました。現在では、これらの胞子の性質ははっきりとは分かっていませんが、分節胞子嚢と同一視されることは少なくなっています。

このように、分節胞子嚢は単なる構造物だけでなく、接合菌類の系統にも深く関わる存在であり、今後の研究によってその詳細が明らかにされることが期待されます。

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