張り手

張り手（はりて）

張り手は相撲の技術の一つで、主に相手の顔や首の側面を叩くために使用されます。この動作は、平手を横に振りあげて行うもので、相手に直接当てることで圧力をかけることが目的です。張り手はサッと打つことで瞬時に力を発揮し、出合い頭に当たることが多く、時には決定打となることもあります。この場合、決まり手として「突き倒し」としてカウントされることがあります。

技の特徴として、張り手は実際には掌の付け根部分を相手にぶつける「掌底打ち」に近いものでもあります。手首のスナップを利用することから、表面的なダメージを与えることが狙いではなく、相手の動きを制限したり、一瞬の隙を作る動作に意味があります。興奮した状況では、両者が張り手を繰り出し合うこともありますが、この技は相手を押し出すことには向いていません。

顎や顔に張り手を打たれると、その勢いで体勢が崩れることがあります。これにより相手に潜り込まれるリスクが生じ、一気に不利な状況を招く結果となることもあります。相撲のルール上、この技では片手で片耳を叩くことは認められている一方で、両手で両耳を叩くことは禁止されています。また、相手の顔に対して肩より外から打つ行為もアマチュア[[相撲]]では禁止されています。

張り差し（はりさし）という技は、立合いで相手に張り手を加え、動揺させたところで自身に有利な攻撃へ持ち込もうとする技術です。通常は大振りにすることなく素早く張りつけて、相手が怯む瞬間を狙います。この技を得意とする力士も多いですが、一方で張り差しは正攻法と見なされず、過度に利用することへの批判もあります。特に、下位の力士が横綱に対して張り差しを行うことは暗黙のタブーとされていますが、過去には大関から横綱昇進を果たした例もあり、話題となりました。

この技は相撲に限らず、他の格闘技でも用いられることがあります。例えば、平手打ちや掌底打ちとしての技術は他の競技にも適用され、時に意外な場面で目撃されます。

過去の逸話として、雷電爲右エ門が相手に張り手を打って殺してしまったという伝説や、昭和16年に行われた場所では多用された張り手が論争を巻き起こしたことが知られています。この際、相手の双葉山も「張り手は相撲の技だ」と自らの意見を述べています。また、力道山の空手チョップは張り手の応用としても名を知られています。さらに、板井圭介は特殊なパッドを用いた張り手で大乃国に勝利するなど、多彩な戦略を見せましたが、その戦法は賛否を呼び起こしました。

軽量級の力士である旭道山も一撃で勝負を決する張り手を持ち、「南海のハブ」と呼ばれるほどの威力を誇っていました。これらの事例からも分かるように、張り手は単なる技ではなく、歴史と文化を感じさせる要素がたくさん詰まった技術です。

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