利谷信義

利谷信義について

利谷信義（としたに のぶよし、1932年8月6日 - 2019年8月19日）は、日本における著名な法学者であり、特に民法や法社会学の分野で卓越した専門知識を有していました。東京大学をはじめ、お茶の水女子大学や東京経済大学で名誉教授として活躍し、学問の発展に大きく寄与しました。

経歴

利谷は現在の韓国・釜山で生まれ、1951年に愛媛県立松山北高等学校を卒業後、東京大学法学部に入学しました。1955年に同大学を卒業し、さらに1966年までに大学院で民刑事法専門の修士課程を修了しました。その後、東京都立大学で助教授として教育に従事し、1969年には東京大学社会科学研究所にて助教授となります。1973年には教授に昇進し、長年にわたり大学の中心的な役割を担いました。

1985年から1986年にかけてはドイツのフライベルク大学およびベルリン自由大学で客員教授として国際的な経験を積むとともに、1990年から1992年まで東京大学社会科学研究所の所長も務めました。1993年に東京大学を定年退官後は、お茶の水女子大学に転職し、生活科学部の教授に就任しました。また、1996年には同大学のジェンダー研究センターの長としても活動し、学際的な研究を進めました。

その後も、東京経済大学にて教授として教鞭を取り、2000年には同大学の現代法学部長に就任する等、精力的に教育と研究に取り組み続けました。最終的には2004年に東京経済大学およびお茶の水女子大学の名誉教授となり、教育界に多大な影響を与える存在として評価されました。

研究テーマ

利谷の研究は多岐にわたりますが、主に以下のテーマを中心に展開されました。

• - 家族法および家族政策の歴史的研究
• - 土地法及び土地制度史の探求
• - 司法制度及びその歴史に関する分析
• - 法社会学の理論と学説の歴史的考察

これらの分野における研究は、日本社会における法的な枠組みや社会制度の理解を深めることに寄与しました。

著作業績

利谷は数多くの著作を残しており、以下にいくつかの主要な著書を挙げます。

• - 『日本の法を考える』（1985年、東京大学出版会）
• - 『家族と国家　家族を動かす法・政策・思想』（1987年、筑摩書房）
• - 『家族の法』（1996年、有斐閣）

さらに、共編書として「現代日本の法思想」や「日本型クラインガルテン実現へのビジョン」なども手掛け、法学界に多大な貢献をしました。

国際的貢献と栄典

1988年から1997年まで日本学術会議の会員として活動し、また1990年から1996年には日本法社会学会の理事長を務めました。これに加えて、1994年から1997年までは総理府男女共同参画審議会の委員としても活躍しました。さらに、2010年には瑞宝中綬章を受章し、その功績が広く認められました。

2019年8月19日、利谷は87歳で肺炎により逝去しました。その生涯を通じて、日本の法学研究や教育に多くの業績を残し、法学界において重要な存在となりました。

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