前の山太郎

前の山 太郎（まえのやま たろう）

前の山太郎（本名：清水和一）は、1945年3月9日に大阪府北河内郡庭窪村で生まれ、2021年3月11日に亡くなるまで多くの相撲ファンに愛されてきた大[[相撲]]力士である。身長186センチメートル、体重133キログラムという恵まれた体格を持つ彼は、高砂部屋に所属し、最高位は東張出大関であった。得意な技は突っ張りや左四つ、寄りを駆使した力強い相撲だった。

来歴

現役時代

彼の相撲人生は、高校時代に始まった。浪商高校では一度野球部に所属していたが、その体格から相撲部にスカウトされ、やがて大阪府の大会で一定の成果を収めるに至った。高校1年で中退し、高砂部屋に入門、1961年3月の場所で初土俵を踏んだ。その後、様々な困難に直面しながらも、継続的な努力と同じ部屋の先輩たちからの刺激を受けて成長していった。

特に、高見山との出会いが彼の心を奮い立たせ、相撲に対する姿勢を見直すきっかけとなった。高見山の存在が彼に稽古の重要性を教え、結果として彼は急速に番付を上げていく。1965年には十両に昇進し、1966年に新入幕。その後も着実に成績を残し、1968年には関脇に昇進した。今や名力士として知られる彼は、幕内での安定した成績を残す一方、横綱に挑戦する機会も多かった。

特筆すべきは1970年代初頭のことである。大関に昇進したが、右足を傷め、怪我に悩まされることとなる。これにより本来の力を発揮できなくなり、結果として数回の負け越しを余儀なくされた。大関としての地位は安定しないものとなり、彼は多くの批判にもさらされることになるが、彼自身は相撲への情熱を失わずに奮闘した。

現役引退日は1974年3月。彼は自身の業績や全盛期を経て、力士としてのキャリアに終止符を打った。

親方として

引退後は年寄・高田川を襲名し、高田川部屋を設立した。弟子たちの育成に尽力し、小結前乃臻や幕内力士鬼雷砲などを輩出したが、相撲協会においては波乱もあった。1998年には理事に立候補したことで周囲との摩擦が生じ、破門されるなど予想外の事態が発生した。同年には、弟子である剣晃の早逝という悲劇もあった。

しかし、彼は持ち前の情熱をもって鍛え上げ、2005年には大雷童の十両昇進を果たし、再び関取が輩出されたことに喜びを感じた。協会内での役職としては、理事を務めた後、勇退しながらも巡業の活性化に貢献した。

2021年に76歳で逝去し、葬儀は家族葬として静かに行われた。相撲に対する情熱と献身的な指導は、多くの弟子たちや後進に受け継がれている。

主な成績

通算成績は487勝397敗、幕内での成績は343勝305敗という立派なものであり、大関としての在位は10場所もあった。数々の受賞歴もあり、特に殊勲賞を3回、敢闘賞を2回受賞したことでも知られる。

現役時代には多くのファンを惹きつけ、印象に残る力士の一人として、相撲界から永遠に記憶されるだろう。

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