前ノ山政三 (1931年生)

前ノ山政三（まえのやま まさぞう）

前ノ山政三は、1931年7月2日に生まれ、1973年4月8日に亡くなった大相撲力士です。本名は菊池秀介といい、愛媛県八幡浜市出身で、高砂部屋に所属していました。最高位は東前頭14枚目（1958年5月場所）です。現役時代の体格は176cm、102kgで、右四つ、寄り、上手投げを得意としていました。

生い立ちと入門

前ノ山は、満州（現在の中国東北部）で生まれ、第二次世界大戦終結後に愛媛県八幡浜市に引き揚げてきました。15歳で高砂部屋に入門し、1947年6月場所で初土俵を踏みました。翌11月場所には、「前ノ川」の四股名で序ノ口に上がりました。

四股名の変遷

1951年5月場所からは、故郷・愛媛の名所に因んだ「佐田岬」に改名しました。さらに、1953年3月場所で新十両に昇進した際、同郷の先輩であり師匠でもある高砂親方（元横綱・前田山）の現役名から2字を取って「前ノ山」に改めました。実は「前ノ山」を名乗った力士は彼が2代目で、初代は同じく高砂部屋に所属し、幕内でも活躍した前ノ山政三（読みは「せいぞう」）です。

力士としての活躍

1955年9月場所で新入幕を果たし、以後は強い腕力を活かした右四つからの寄りや上手投げを武器に、主に幕内下位から十両で活躍しました。特に、相手と正対しない独特の斜め仕切りは人気があり、観客を大いに沸かせました。4度目の入幕場所では、自身初となる幕内での勝ち越しを決めました。

引退とその後

現役晩年は幕下4枚目まで陥落し、1960年1月場所を最後に28歳で引退しました。引退後は故郷に帰り、松山市で相撲料理店を経営しました。1973年4月8日、41歳でこの世を去りました。

人物像とエピソード

前ノ山の“斜め仕切り”は非常に独特で、顔は相手ではなく行司の方を向いていたため、観客から「前ノ山は行司と相撲を取る気か！」とからかわれたこともありました。また、ある場所で星甲と対戦した際には、両者とも斜めを向く仕切りになったため、観客が爆笑したというエピソードもあります。

前ノ山は、その暢気な性格といつも笑顔を絶やさない人柄から、部屋の先輩である大田山から「にいや」という愛称で呼ばれていました。また、同じ八幡浜市出身で高砂部屋の後輩である愛宕山が角界入りするきっかけを作ったのは、前ノ山の父親でした。

主な戦績

通算成績：339勝342敗15休　勝率.498
幕内成績：54勝81敗　勝率.400
現役在位：50場所
幕内在位：9場所

四股名

前ノ川（まえのかわ、1947年11月場所-1951年1月場所）
佐田岬（さだみさき、1951年5月場所-1953年1月場所）
* 前ノ山 政三（まえのやま まさぞう、1953年3月場所-1960年1月場所）


前ノ山政三は、その独特な取り口と愛嬌のある人柄で、多くの相撲ファンに愛された力士でした。

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