副王領

副王領とは

副王領（ふくおうりょう、スペイン語: Virreinato、英語: Viceroyalty）は、16世紀以降にスペイン王国が海外領土を統治するために創設した統治機構です。これらの地域は、単なる植民地としてではなく、スペイン王国の州または県に準ずる存在として位置づけられ、本土と同様の権利が付与されていました。

副王領の統治は、スペイン国王の代理である副王に委ねられました。副王は、広大な領域における行政、司法、軍事など、多岐にわたる権限を行使し、国王の名の下に統治を行いました。

スペイン領アメリカの副王領

スペインは、広大なアメリカ大陸を統治するために、複数の副王領を設置しました。以下に、スペイン領アメリカに存在した主要な副王領を挙げます。

1. ヌエバ・エスパーニャ副王領（1519年 - 1821年）
現在のメキシコ、中央アメリカ、カリブ海地域、およびアメリカ合衆国の一部（現在のカリフォルニア、ネバダ、ユタ、アリゾナ、ニューメキシコ、テキサスなど）を包含する広大な領域を統治しました。首都はメキシコシティに置かれ、豊富な銀鉱山などを背景に繁栄しました。

2. ペルー副王領（1542年 - 1824年）
南アメリカ大陸の太平洋沿岸地域を統治しました。現在のペルー、チリ、ボリビアなどに相当する地域を管轄し、首都はリマに置かれました。銀鉱山の開発や農業生産が盛んでした。

3. ヌエバ・グラナダ副王領（1717年 - 1723年、1739年 - 1810年、1816年 - 1823年）
南アメリカ大陸の北部地域を統治しました。現在のコロンビア、エクアドル、パナマ、ベネズエラなどに相当する地域を管轄し、首都はボゴタに置かれました。金鉱山の開発や農業生産が行われました。

4. リオ・デ・ラ・プラタ副王領（1776年 - 1814年）
南アメリカ大陸の南東部地域を統治しました。現在のアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ボリビアの一部に相当する地域を管轄し、首都はブエノスアイレスに置かれました。牧畜や農業生産が盛んでした。

これらの副王領は、スペイン帝国の重要な構成要素であり、経済、社会、文化など、多岐にわたる面で大きな影響を与えました。しかし、19世紀に入ると、独立運動が活発化し、これらの副王領は次々と独立を果たし、新たな国家として歩み始めました。

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