劉思敬

劉思敬（りゅう しけい）

劉思敬（1231年 - 1283年）は、モンゴル帝国（大元ウルス）に仕えた漢人将軍の一人です。父は劉斌。

生涯

劉思敬の父である劉斌は、漢人世侯の張栄の下で華北平定に従事した人物でした。劉思敬も早くからモンゴル軍に加わり、「哈八児都」というモンゴル語名を授けられています。父の死後、その地位を継承し、董文炳らとともにクビライの指揮下に入りました。

臺山寨の戦いでは、真っ先に城壁を登るという功績を挙げましたが、矢傷を負ってしまいます。その功績に対し、クビライ自らが酒を賜って労ったという逸話が残っています。中統2年（1261年）には武衛軍千戸の地位を授けられ、李璮の乱討伐に従事し、銀60錠を下賜されています。中統4年（1263年）には済南武衛軍総管の地位を授けられ、盗賊の捕縛に功績があったため、銀千両を下賜されています。

至元3年（1266年）、懐遠大将軍・侍衛親軍左翼副都指揮使の地位を授かり、至元4年（1267年）からは京城（大都）の築城を命じられました。

至元8年（1271年）には広威将軍・西川副統軍の地位を授かり、至元9年（1272年）には南宋の嘉定守将である昝万寿が成都に侵攻してきたため、劉思敬がこれを迎撃して破りました。また、青白でも南宋軍を破り、捕虜とした2千人を還しました。至元12年（1275年）には、同僉行枢密院事に転じ、再び嘉定を攻めてこれを奪取しました。この功績により、瀘州・叙州・忠州・涪州諸部、巴県籌勝・亀雲・石筍等寨の十九族、西南夷の五十六部が降伏しました。

至元13年（1276年）には、重慶を包囲して宋将の張万を破り、敵船100艘余りを奪う勝利を得ました。しかし、6月に瀘州が再び叛乱を起こし、劉思敬の妻子は命を落とすという悲劇に見舞われます。それでも劉思敬は兵を率いて敵将の任慶を捕らえ、盤山寨を破って9千戸余りを捕らえました。さらに、劉雄や王世昌らを捕らえることで夜間に東門より瀘州城に侵入し、王安撫らを殺害して遂に瀘州を再度平定しました。その後、再び重慶を攻めて敵将の趙牛子を降伏させ、守臣の張玨を生け捕りにしました。

至元16年（1279年）に四川地方が平定され、これまでの軍功により中奉大夫・四川行省参知政事に任じられました。また、行院が廃止されたことにより四川北道宣慰使に改められました。

至元17年（1280年）には、正奉大夫・江西行省参知政事の地位を授かり、吉州・贛州の盗賊を取り締まって民の暮らしを安定させました。その後、至元20年（1283年）に53歳で亡くなりました。

弟の劉思恭は、昭毅大将軍・右衛親軍都指揮使の地位に至っています。

参考文献

愛宕松男『東洋史学論集　4巻』三一書房、1988年
『元史』巻152列伝39劉斌伝
* 『新元史』巻143列伝40劉斌伝

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