劉禹錫

劉禹錫（りゅう うしゃく）

劉禹錫（772年 - 842年）は、中国唐代中期の詩人・政治家であり、字を夢得（ぼうとく）と称しました。彼は詩豪とも呼ばれ、その作品は後世に大きな影響を与えました。

生涯

代々儒学者の家系に生まれ、学問に励みました。793年に進士に及第し、政治の世界へ足を踏み入れます。淮南節度使の杜佑の配下で書記を務めた後、中央政界で柳宗元らと共に王叔文の改革に参加しました（永貞の革新）。劉禹錫は財政面を担当し、その手腕を発揮しましたが、改革は守旧派の反発を招き、政争の種となります。

改革の失敗後、劉禹錫は連州刺史に左遷され、後に朗州司馬に降格されました（八司馬事件）。失意の中、彼は朗州で約9年間を過ごし、文学に没頭します。現地の風俗や民衆の生活に触発され、多くの詩を創作しました。

815年、長安に召還されますが、玄都観で詠んだ詩が政府を揶揄するものと解釈され、再び左遷の憂き目に遭います。その後も各地の刺史を歴任し、828年に長安へ戻り主客郎中に任命されました。しかし、宰相の引退後、洛陽へ追いやられ、832年には蘇州刺史に左遷されるなど、不遇の時代を過ごしました。性格が災いし、地位は安定しませんでした。

晩年は白居易との親交を深め、詩を通じて交流しました。最終的には検校礼部尚書・太子賓客として生涯を終えました。

詩風

劉禹錫の詩は、左遷という苦難の経験から生まれたものが多く、社会や政治に対する諷喩に富んでいます。楽府体の寓言詩にその特徴がよく表れており、例えば、蚊を佞臣に喩えて批判する詩などがあります。また、各地の民謡に新しい歌詞をつけた作品も多く、「竹枝詞」はその代表例です。

儒学

劉禹錫は儒学者としても知られ、『天論』は柳宗元の『天説』と並び称される著作です。彼は天人相関説を批判し、天は単に万物を生成するのみであり、人は法によって自然を制御できると主張しました。彼の思想は、当時の人々の天に対する考え方に大きな影響を与えました。

劉禹錫は、詩人、政治家、そして思想家として、多岐にわたる分野で才能を発揮し、唐代の文化に大きな足跡を残しました。

もう一度検索