加地和

加地和（かじ やまと）

政治家、弁護士、税理士として活動した加地和は、1936年9月16日に京都府に生を受けました。2008年9月14日に71歳で生涯を終えるまで、その多岐にわたるキャリアと情熱的な人柄は多くの人々の記憶に残っています。政治家一家の出身であり、父の加地弥一氏は京都市会議員、二男の加地浩氏も京都市会議員を務めています。また、妻の勝子氏は元京都府議会議員である長岡巻太郎氏の二女です。

経歴と政治活動

1959年に京都大学法学部を卒業した加地氏は、まず京都市役所に勤務し、公務員としての第一歩を踏み出しました。その後、地元京都府の府議会議員に転身。自由民主党に籍を置き、二期にわたり府政に尽力しました。

国政への転換は1976年。新自由クラブの公認候補として、第34回衆議院議員総選挙の京都1区に挑むことになります。この選挙期間中、彼の政治家人生において特筆すべき出来事が発生しました。京都での街頭演説に訪れた新自由クラブ代表、河野洋平氏が突然、暴漢に襲われたのです。その瞬間、河野氏の傍らにいた加地氏は、長年鍛錬を積んだ剣道三段の腕前を発揮。間髪入れずに暴漢を取り押さえ、河野氏の身の安全を確保しました。この果敢な行動は、単に代表を救っただけでなく、「時の人・河野洋平氏を体を張って守った熱血漢」として加地氏の評判と知名度を飛躍的に高める結果をもたらしました。時あたかも新自由クラブへの国民的な関心が高まる追い風もあり、加地氏は見事に当選を果たし、念願の衆議院議員となりました。

しかし、国政の道は平坦ではありませんでした。続く1979年の第35回衆議院議員総選挙では、京都1区から新自由クラブ公認で再選を目指すも、惜しくも議席を失います。衆議院議員としての活動期間は一期にとどまりましたが、その名前は先に述べたエピソードとともに強く印象付けられました。

京都市長選挙への挑戦

国政を離れた加地氏は、地元京都の市政に目を向けます。1981年には、前市長の病気引退に伴う京都市長選挙への立候補を決意。新自由クラブの推薦を得て戦いましたが、自民、社会、公明の推薦と共産、民社、社民連の支持を受けた今川正彦氏に、わずかな得票差で敗れ去りました。その後も市政への情熱は衰えず、1985年にも再び京都市長選に挑戦します。この時は新自由クラブと社会民主連合の推薦を受けましたが、残念ながら勝利には至りませんでした。

政治活動の終焉と晩年

京都市長選での再度の敗北後、加地氏は1986年の第38回衆議院議員総選挙に京都1区から新自由クラブ公認で出馬しますが、再び落選。これにより、彼は表立った政治活動から距離を置くこととなりました。政治の第一線から退いた後は、弁護士、税理士としての専門性を活かし、自身の法律事務所の運営に専念。静かに活動を続けました。

晩年、加地氏はかつての政治仲間との交流を大切にしていました。2007年8月には、東京都内で開かれた新自由クラブの同窓会に出席し、往時を懐かしむ姿が見られました。

2008年9月14日午後6時28分、加地和氏は膵臓がんのため、京都市上京区の病院で71歳で逝去しました。衆議院議員として、また弁護士・税理士として、そして何よりもその「熱血漢」ぶりで知られた加地和氏の生涯は、地元京都を中心に多くの人々の記憶に刻まれています。

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