加藤泰衑

加藤泰衑（かとう やすみち）

加藤泰衑は、江戸時代中期に伊予国大洲藩の第6代藩主を務めた人物です。従五位下・出羽守の官位を有していました。

生涯

享保13年（1728年）に旗本・加藤泰都の長男として江戸で誕生しました。母は江戸城大奥女中であった心涼院です。幼少の頃は徳川家重に仕えましたが、延享元年（1744年）に小納戸役、翌年には小姓に任じられました。

しかし、延享元年（1744年）6月、本家である大洲藩主・加藤泰温が急逝したため、急遽その養嗣子として迎えられ、家督を継承することとなりました。

藩主となった泰衑は、藩財政の再建に力を注ぎました。具体的には、家臣の知行削減や倹約令の施行などを行いましたが、幕府からの命令による朝鮮通信使や勅使の接待などの出費が重なり、藩財政はさらに悪化の一途を辿りました。その結果、領民への重税を課さざるを得なくなり、内ノ子騒動を引き起こす要因となりました。

文化面においては、延享4年（1747年）に先代藩主・泰温が建設に着手した藩校・明倫堂が開校し、藩儒の川田雄琴が教授に就任しました。また、宝暦9年（1759年）には、加藤家の史料である「北藤録」20巻を編纂するなど、文化事業にも貢献しました。

宝暦12年（1762年）2月1日、先代藩主・泰温の実子である加藤泰武に家督を譲り、隠居しました。天明4年（1784年）に57歳で死去し、法号は寛厚院殿。墓所は東京都台東区松が谷の海禅寺と、愛媛県大洲市西山根の曹渓禅院にあります。

系譜

父：加藤泰都（1706-1782）
母：心涼院 - 谷口正次の娘
正室：津礼 - 加藤泰温の娘
室：天涼院
次男：加藤泰行（1753-1769）
生母不明の子女
長男：喜連川恵氏（1752?-1829） - 喜連川氏連の養子
三男：溝口直英
四男：加藤泰候（1760-1787） - 加藤泰行の養子
五男：加藤泰豊
七男：加藤泰周
八男：大関増業（1781-1845） - 大関増陽の養子
女子：稲垣長以正室
女子：毛利高標正室
女子：恭心院 - 加藤泰賢正室
養子
* 男子：加藤泰武（1745-1768） - 加藤泰温の長男


加藤泰衑は、藩財政の立て直しに苦心しながらも、藩校の充実や史料編纂など、文化的な側面でも功績を残した人物として知られています。

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