助川敏弥

助川敏弥（すけがわ としや）

プロフィール

助川敏弥は、1930年7月15日に札幌市で生まれ、2015年9月26日に肺癌のため東京都世田谷区で亡くなりました。享年85歳。作曲家、音楽評論家、雑誌編集者として、日本の音楽界に多大な貢献をしました。

生い立ちと教育

1948年に北海道庁立札幌第一中学校（現在の北海道札幌南高等学校）を卒業後、1952年に東京芸術大学音楽学部作曲科に入学。上京するまでは荒谷正雄に音楽の基礎を、東京芸術大学では池内友次郎に師事しました。1954年には、日本音楽コンクール作曲部門で第一位と特賞を受賞し、その才能を早くから開花させました。

作曲家としてのキャリア

1957年に東京芸術大学を卒業後、林光、間宮芳生、外山雄三らと作曲家同人「山羊の会」を結成。1960年には「オーケストラのためのパルティータ」で文部省芸術祭奨励賞を受賞するなど、数々の賞に輝きました。

純音楽の作曲だけでなく、NHKなどの放送番組の音楽も数多く担当。1973年には放送用音楽作品「こどもとことば」がイタリア賞を受賞しました。また、1963年から1965年まで第一法規出版社刊「山田耕筰全集」の編集に携わったり、1971年には東京大学教養学部で講師を務めたりもしました。札幌新音楽集団「群」の音楽監督としては、ヨーロッパへの演奏旅行も行いました。

1962年には日本音楽舞踊会議に入会し、後に事務局長、編集長、代表理事を歴任。2006年からは栃木県ピアノコンクールで課題曲の選定や審査員も務めました。

多岐にわたる活動

助川敏弥は、作曲活動に加え、音楽とコンピュータのコラボレーション、音楽評論などの言論活動にも積極的に取り組みました。また、作曲家や若手舞台芸術プロデューサーの育成にも力を入れ、多くの門下生を育てました。

作品の特徴

初期の作品にはオーケストラや室内楽編成の曲が多く、大学卒業後に放送音楽の世界に入ると、オーケストラの技術を生かした作曲・編曲に携わりました。その後、合唱曲、室内楽曲、邦楽器へと創作の幅を広げ、1970年代以降は特にピアノ曲に注力しました。1980年代後半からは電子音楽や環境音楽にも関心を持ち、1987年にはバイオシック環境音楽研究所を設立。1990年から2000年頃までは、電子音楽、環境音楽の作曲を中心に活動しました。

2000年以降はライブ演奏の重要性や時間芸術としての音楽の価値を再認識し、ピアノソロやヴァイオリン、室内楽作品を多く作曲しました。2006年と2007年には喜寿記念演奏会を開催し、85歳を超えてもなお創作意欲を失わず、精力的に作品を発表し続けました。

主な作品

オペラ
テレビオペラ「ポラーノの広場」（1959）

オーケストラ
パッサカリアOp.1（1954）日本音楽コンクール第1位、特賞
パルティータ（1960）芸術祭奨励賞
レゲンデ（1965）芸術祭奨励賞

弦楽オーケストラ
弦楽オーケストラのためのディヴェルティメントOp.2（1956）
ひえつきぶし-弦楽オーケストラのために-（2000）
ちいさきいのちのために-弦楽オーケストラのために-（2015）
夜の雨-弦楽オーケストラのために-（2015）

器楽
弦楽四重奏曲（1956）
木管五重奏曲（1962）
ヴィオラとピアノのための5つの変容（1966）
5人のフルート奏者のための2章（1967）
ヴァイオリンとピアノのための秋のうた（1982）
2人のフルート奏者のためのKAGAMI（1984）
ヴァイオリンとピアノのためのAfternoon（2004）
ヴァイオリンとピアノのための竜舌蘭-遠い雨-（2006）
ヴァイオリンとピアノのためのVanessa（2005）
弦楽四重奏曲「REQUIEM」（2005/未初演）
ヴァイオリンとピアノのためのそよ風（2007）
ヴァイオリンとピアノのための夜の雨（2007）

ピアノ
2台のピアノのためのディヴェルティメント（1958）
「ちいさな四季」26のやさしいピアノ曲集　Op.28（1971）
3つのやさしい小品（1971）
Tapestry for Piano　 Op.34（1972）
ピアノのためのソナチネ「青の詩（し）」　Op.45(1975)
山水図　Op.58 (1978)
こもりうたOp.73（1986）
「ちいさき　いのちの　ために」（2000）
ひえつきぶし（2002）
さくらまじ（2002）
「Prelude, Passacaglia Fugue」（2004）
ピアノのための24の前奏曲（2014）

合唱曲
復活祭のためのプロパー（1963）
コバルト山地-男声合唱のための三章-（1964）
混声合唱のための組曲「白い世界」Op.27（1971）
詠歌-混声合唱と打楽器のための-（1972）
混声合唱組曲「泉のうた」Op.53（1976）
白ひといろとスミレの花

打楽器
パウル・クレーによせる5つの小品（1970年）

邦楽
十七絃と弦楽器のための3つの叙景（1969）
邦楽器のための「形象」Op.33（1972）
独奏十七絃による三章「雪松」「雨竹」「飛雁」　Op43（1974）
秋の夜（1976）
風漣（1977）
織女星Op.60（1978）
十七絃のための秋林図Op.61（1978）
風韻（1973/1993）

電子音楽、テープ作品
こどもとことば　この地球にあって（1973）
響像Op.59（1978）
風のうたOp.62（1980）
ベーリング海峡（1986）
被爆ピアノとオーケストラのための「おわりのない朝」　Op.68(1983.07.23)
みどりなすはこべもえずOp.78（1989）
現代の音楽テーマ（1990）
Afternoon（1995）
REQUIEM 1.2.（1997）

環境音楽（バイオシックミュージック）
星へのいざない（1986）
銀行店内音楽（1987）
Blue Fountain（1987）
スペインの光と風（1990）
鹿島建設本社ビル音楽1（1990）
東名高速道路SA公団展示室音楽（1991）
鹿島建設本社ビル音楽2（1991）
バイオシックミュージック　CD6枚「水」「宇宙」「星座」「四季」「宝石」「地球」（1992）
鹿島建設本社ビル音楽3（1992）
鹿島建設技術研究所校内音楽4（1993）
鹿島社有保養施設用音楽（1994）
鹿島建設技術研究所構内音楽5（1994）
鹿島建設技術研究所構内音楽6（1995）
Kid kiddy world CD3枚「天使の子守歌」「マーメイド天使の子守歌」「妖精の子守歌」（1996）
鹿島建設音楽7（1996）
鹿島建設音楽8（1996）
鹿島建設音楽9（1997）
鹿島建設音楽10（1998）
鹿島建設音楽11（1999）
鹿島建設音楽12（2000）
鹿島建設音楽（新宿・新社屋用・最終回）13（2002）

受賞歴

1954年：日本音楽コンクール作曲部門第1位特賞（「オーケストラのためのパッサカリア」）
1960年：文部省芸術祭奨励賞（「オーケストラのためのパルティータ」）
1962年：NHK教育局長賞
1965年：文部省芸術祭奨励賞（「オーケストラのためのレゲンデ」）
1966年：放送記者会賞（NHKラジオ放送劇「龍舌蘭の咲く時」）
1971年：文部省芸術祭優秀賞（混声合唱組曲「白い世界」）
1973年：イタリア賞（放送用音楽作品「こどもとことば」）

家族

妻はノンフィクション作家の末広陽子。

外部リンク

* 助川敏弥ホームページ

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