労働学校

労働学校とは

労働学校は、労働者の自覚と知識向上を目的として、労働者自身が自主的に設立した教育機関です。これらの学校は、労働者の権利や社会構造に関する知識を深め、労働運動におけるリーダーシップを育成することを目指しています。

歴史的背景

労働学校の起源は、19世紀初頭のイギリスにおける機械工講習所などに遡ります。当時、イギリスではエンゲルスの言う「たくさんの社会主義」に対応する多様な労働者の学習活動が存在し、成人学校運動や大学拡張運動も展開されていました。

1899年には、労働運動や協同組合の支援を受けた新しい形態の労働者教育機関として、オックスフォードにラスキン・カレッジが設立されました。その後、アメリカのランド・スクールをはじめ、20世紀初頭から各国で労働組合によって労働学校が設立されていきました。

フランスでは、1932年にジョルジュ・コニオの主導でパリに労働大学が開設され、無料の夜間成人学校として機能しました。スペインでも、フランシスコ・ラルゴ・カバジェーロらが労働大学を組織しました。

日本における労働学校

日本における労働者教育は、労働運動や社会主義運動の発展とともに始まりました。1911年に鈴木文治が東京で講習会を開催したのがその先駆けです。

1920年代には、キリスト教系の労働学校や、大学拡張思想を掲げる労働学校が設立されました。栗野谷蔵が設立した大日本労働者教育会や、吉野作造が理事を務めた労働者教育協会による労働学校などが開設されました。

これらの学校は、労働者の経験や問題意識に基づき、知識人が協力する形式で運営されました。例えば、山本宣治は、労働学校の講師や校長を務めました。しかし、これらの学校は労働運動への弾圧や停滞により、その多くが消滅しました。

戦後、日本では労働組合や知識人の協力のもとで、各地に労働学校が設立・運営されています。例えば、京都市の委託を受けた京都勤労者学園が運営する京都労働学校では、中国語や日本史、書道、Microsoft Excelなどの講座が開設されています。

労働学校の特徴

労働学校は、労働者の視点に立ち、実践的な知識や技能を習得する場を提供しています。また、労働者の権利や社会構造に関する理解を深め、社会運動におけるリーダーシップを育成する役割も担っています。

労働学校は、労働者の自立と社会変革を目指す、重要な教育機関であると言えるでしょう。

年表

1920年6月: 日本労働夜学校が開校（東京市小石川区）
1920年11月: 東京労働講習所が開校
1921年6月: 中央労働学院が開校（小石川区）
1921年9月: 日本労働学校が開校（東京市芝区）

関連団体・施設

労働運動
農民学校
社会教育
協調会: 労使協調主義の立場から労働者教育を行った戦前の半官半民団体
学校法人中央労働学園: 協調会の後身団体
京都学連事件: 京都労働学校を支援していた学生たちが弾圧された事件
京都人文学園: 戦後、人文主義に基づく民間教育運動を担った、京都勤労者学園の前身
労働者教育協会: 全国[[労働組合総連合]]（全労連）系列の労働学校運営団体
労働大学: 社会党左派の党学校としてスタートした労働学校（現在は右派と左派に分裂）
大阪労働学校アソシエ: 連帯労働組合関西地区生コン支部が中心となり、大阪労働学校と関生型労働運動の理念を広めるために建設
労作学校: ドイツ語でArbietsschule。教育運動を指す

外部リンク

労働者教育協会HPホーム
労教協HP－リンク
ラボール学園（京都勤労者学園）

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