労働者教育協会

労働者教育協会とは

労働者教育協会は、科学的社会主義の理論に基づき、労働者向けの教育・学習活動を行う日本の団体です。1952年の設立以来、労働者の権利向上と社会変革を目指し、学習会、通信教育、出版など多岐にわたる事業を展開しています。特に、全国労働組合総連合（全労連）との協力関係が深く、労働運動の発展に貢献しています。

組織概要

この協会は、学者、労働組合幹部、学習会組織者などが個人資格で参加する会員組織です。東京都文京区に拠点を置き、全国に都道府県単位の学習組織を持っています。会員は、唯物論、マルクス経済学、労働法、青年教育などの分野に精通しており、労働運動における教育の重要性を共有しています。

主な活動内容

学習活動

労働者教育協会は、学習会や労働学校を主催し、講師派遣も行っています。また、2年ごとに「全国学習交流集会」を開催し、会員間の交流と学習の深化を図っています。これらの活動を通じて、労働者は社会の仕組みや自身の権利について深く理解することができます。

通信教育

「勤労者通信大学」を運営し、労働組合コースと憲法コースの2コースを提供しています。この通信教育は、科学的社会主義の基礎、労働者の権利、日本国憲法などを学ぶことができます。入学試験はなく、学歴や年齢に関わらず誰でも受講可能です。レポート提出と添削指導を通じて、学習効果を高めています。

出版活動

学習の友社を出版部門とし、月刊学習誌『学習の友』や『国民春闘白書』などを刊行しています。これらの出版物は、労働運動における理論的な支柱となり、労働者の学習に不可欠な資料となっています。また、書籍の出版も行っており、幅広い知識の普及に努めています。

歴史

1952年、大山郁夫、柳田謙十郎らによって設立された当初は、「労働者教育のためのサービス・センター」としての役割を担っていました。その後、全国各地に組織を拡大し、1968年には全都道府県に地方組織を確立しました。また、同年に「勤労者通信大学」を開設し、多くの労働者が学習の機会を得るようになりました。

過去の出来事

1953年：『社会科学基礎講座』を刊行し、学習活動の基礎を築きました。
1960年代：路線対立により一部が脱退し、新たな団体を設立しました。
1970年代：組織改革を行い、個人会員制へ移行しました。
1980年代以降：会長の交代を経て、新しい学習講座の展開や出版物の刊行を続けました。
1990年代：ソ連・東欧問題崩壊に対し、資本主義・社会主義をテーマにした出版物を発行しました。
2000年代：創立50周年を迎え、記念事業を行いました。

関連情報

労働者教育協会は、春闘、階級闘争、剰余価値などの概念を重視し、生涯学習の推進にも貢献しています。また、機関紙連合通信社やレイバーネットなどの団体とも連携し、労働者の権利向上に向けて活動しています。関連団体として、勤労者通信大学や労働大学が挙げられます。

労働者教育協会は、労働者の学習と成長を支え、より公正な社会の実現を目指す、重要な役割を担っています。その活動は、労働運動の発展に不可欠であり、今後もその動向が注目されます。

もう一度検索