労働部 (中華民国)

台湾労働部（Ministry of Labor）について

台湾の労働部（Ministry of Labor、中国語繁体字：勞動部）は、中華民国（台湾）の行政院に属する、雇用、労働、年金などの人的資源に関する行政を所轄する中央機関です。日本の厚生労働省に相当する機関であり、労働者の権利保護や福祉向上を目的として活動しています。

歴史

労働部の歴史は、中華民国の成立初期にまで遡ります。当初は労働部としての独立した組織ではなく、社会部や内務部にその機能が組み込まれていました。以下にその変遷をまとめます。

1947年以前: 国民政府は行政院に労働部の設置を計画しましたが、実現には至りませんでした。
1948年: 行政院は社会部を再設置し、労働部は社会部傘下の労働局に格下げされました。
1949年: 社会部が廃止され、労働事業は内務部に移管、内務部労働司が設置されました。
1987年: 内政部労働司が再編され、行政院労工委員会として独立しました。これは、労働問題がより重要視されるようになったことを示しています。
1990年: 李登輝政権は労働部設置のための行政院組織法改正案を提出しましたが、この時点では労働部は設立されませんでした。
1999年: 省虚級化により、行政院労工委員会が台湾省政府労働局の業務を引き継ぎました。台湾省政府労働局は行政院労工委員会中央弁公室に改組されました。
2004年: 陳水扁政権の行政院機能業務組織調整案で、労働人力資源部の設置が提案されました。
2009年: 馬英九政権の行政院再編で、労働部の設置が確認され、立法院に審査のために送られました。
2013年: 行政院労工委員会が旧行政院青年補導委員会から青少年雇用事業を引き継ぎました。
2014年: 行政院労工委員会は労働部に昇格、行政院労工委員会中央弁公室は労働部労働力発展管理局の技能検定センターに改組されました。また、立法院で「労働部組織法」などの関連法案が可決されました。2月17日に正式に労働部が発足しました。

このように、長年の間、労働環境の変化や国際的な動向に対応するため、労働行政組織は幾度も再編されてきました。労働部の設立は、台湾における労働者の権利保護の重要性が高まっていることを示しています。

主な業務

労働部は、以下の主要な業務を担当しています。

雇用促進: 労働市場の活性化、職業紹介、職業訓練などを通じて、国民の雇用機会を創出・支援します。
労働条件の改善: 労働者の労働時間、賃金、安全衛生などの労働条件を保護するための法規制を策定・執行します。
労働紛争の解決: 労働者と雇用主間の紛争を解決するための調停・仲裁などの制度を運営します。
社会保険制度の運営: 労工保険や国民年金などの社会保険制度を管轄し、労働者の生活保障を確保します。
年金制度: 労働者の老後の生活を支える年金制度を運営します。

歴代の長

労働部は、その前身である労工委員会から数多くの長を輩出してきました。以下に歴代の長の名前を記します。

労工委員会主任委員

鄭水枝
趙守博
謝深山
許介圭
詹火生
陳菊：高雄捷運工事によるタイ人労働者暴動事件に関連し辞職。
李応元
盧天麟
王如玄
潘世偉

労働部部長

潘世偉
陳雄文
郭芳煜
林美珠
許銘春


これらの歴代の長たちは、それぞれの時代における労働問題に対応し、台湾の労働環境の改善に尽力してきました。

まとめ

台湾の労働部は、台湾における労働者の権利と福祉を保護するための重要な機関です。その歴史は長く、組織の変遷を経て、現在の労働部へと至っています。今後も、労働環境の変化や新たな課題に対応しながら、より良い社会の実現に向けて活動していくことが期待されます。

関連項目

中華民国の政治
厚生労働省（日本の該当当局）

外部リンク

* 中華民国労働部

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