北の螢 (映画)

映画『北の螢』の紹介

『北の螢』（きたのほたる）は、1984年に公開された日本映画で、仲代達矢が主役を務め、五社英雄が監督を務めています。本作は、東映と俳優座映画放送の共同製作により、東映が配給を担当しました。本作は、当時の主題歌『北の螢』が同時進行で制作されており、この歌は阿久悠が作詞し、三木たかしが作曲、森進一が歌唱しました。

概要

映画『北の螢』は、五社英雄監督が手がけた高知を舞台にした三部作の間に製作された作品で、実際の出来事に基づいた高田宏治のオリジナル脚本にて描かれた作品です。物語は明治時代の北海道を背景に、樺戸集治監という監獄を中心に展開されます。

ストーリー

物語は、明治初期の北海道の開拓の様子から始まります。政府は道路や鉄道の建設に囚人を労働力として活用することになり、樺戸集治監では月潟剛史が典獄として君臨しています。月潟は囚人たちを厳しく扱い、「鬼の典獄」として恐れられています。雪の日、彼はゆうという女性を助け、自分の情婦が経営する料理店に預けます。ゆうは、元・津軽藩士でアナーキストの男鹿孝之進を助け出すための計画を持っており、月潟を利用しようとします。

ゆうは月潟の命令で内務省の開拓副長官の元を訪れ、男鹿の赦免を求めます。男鹿は接見の際、月潟を殺すことを指示しますが、月潟は集治監に潜伏している元新選組の永倉新八たちに襲われて負傷します。

出演者

本作には、仲代達矢（月潟剛史）、岩下志麻（中村ゆう）、夏木マリ（すま）、中村れい子（浜菊）などの実力派俳優が名を連ねています。夏目雅子は本作が遺作となり、彼女のナレーションが映画に深い印象を与えています。

製作の背景

映画は当時の東映社長、岡田茂の発案から始まり、彼が無縁墓地の存在を知ったことがきっかけでした。阿久悠からは映画の題名や主題歌の作詞を依頼され、映画のストーリーに基づいた歌詞が作成されました。阿久は、提出した題名の中から「北の螢」を選ばれた経緯を説明しています。

撮影の工夫

制作上、実際の北海道での撮影は行われず、福井県江上町でロケが行われました。ここで、一億円かけてオープンセットが建設され、豪雪地帯ならではの風景を活かした撮影が行われました。撮影の最中には、熊を登場させるか否かという議論があったものの、監督の強い意向で結局、着ぐるみの熊が配置されました。

影響と評価

映画『北の螢』は、その後の日本映画においても重要な作品として位置づけられています。村形潔の人物像が映画で描かれたことで賛否が巻き起こり、町議会から抗議が入る場面もありましたが、脚本や演技には高い評価が寄せられ、深いドラマ性が観客に印象を残しました。ビデオもレンタル専用で発売されるなど、映画自体の人気が続いています。

まとめ

『北の螢』は、実際の歴史背景を踏まえた深い人間ドラマを描いた作品で、仲代達矢と夏目雅子の演技が光ります。明治という激動の時代に生きる人々の様々な葛藤を通じて、観る者に強いメッセージを伝える映画です。

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