北マギンダナオ州

北マギンダナオ州の概要

北マギンダナオ州（Maguindanao del Norte）は、フィリピンのミンダナオ島中部に位置し、バンサモロ自治地域に属する比較的新しい州です。州都はダトゥ・オディン・シンスアットで、2022年9月17日の住民投票の結果、旧マギンダナオ州が南北に分割されたことで誕生しました。この分割は、長年にわたる議論と住民の意思が反映された結果と言えるでしょう。

地理的には、北を南ラナオ州、東をコタバト州、南東を南マギンダナオ州、南をスルタン・クダラット州と接し、西はモロ湾に面しています。また、北西にはコタバト市がありますが、コタバト市は地理的、選挙区的には北マギンダナオ州に含まれるものの、行政上は独立した存在です。コタバト市を含めた場合の面積は2,551平方キロメートル、人口は約94万人（2020年国勢調査）ですが、コタバト市を除くと面積は2,465平方キロメートル、人口は約62万人となります。

歴史的背景

マギンダナオ州の分割の動きは、2006年にまで遡ります。当時、バンサモロ自治地域の前身であるイスラム教徒ミンダナオ自治地域政府は、マギンダナオ州北部に新たな州を設立する計画を立て、ムスリム・ミンダナオ自治法第201号を制定しました。これにより、2006年10月28日の住民投票で賛成多数を得て、シャリフ・カブンスアン州が成立しましたが、2008年7月にフィリピン最高裁判所が自治地域による州や市の創設を違法と裁決したため、2009年1月に廃止されました。

その後、2021年3月9日にフィリピン上院は、マギンダナオ州の発展と公共サービスの向上を目的として、州を分割する法案を承認。同年5月27日には当時のロドリゴ・ドゥテルテ大統領が法案に署名しました。当初、住民投票は2021年内に予定されていましたが、準備のため2022年9月17日に延期されました。この住民投票では、有権者707,651人のうち706,558人（99.27%）が賛成票を投じ、マギンダナオ州の分割が正式に決定しました。初代北マギンダナオ州知事には、最後のマギンダナオ州副知事であったアイニー・シンスアット氏が選出されました。

自治体

北マギンダナオ州は、以下の12の自治体で構成されています。

バリラ（Barira）
ブルドン（Buldon）
ダトゥ・ブラー・T・シンスアット（Datu Blah T. Sinsuat）
ダトゥ・オディン・シンスアット（Datu Odin Sinsuat）
カブンタラン（Kabuntalan）
マタノグ（Matanog）
北部カブンタラン（Northern Kabuntalan）
パラン（Parang）
スルタン・クダラット（Sultan Kudarat）
スルタン・マストゥーラ（Sultan Mastura）
タリテイ（Talitay）
ウピ（Upi）

まとめ

北マギンダナオ州は、歴史的な経緯を経て誕生した新しい州であり、今後の発展が期待されています。住民の意思が反映された州分割は、地域社会の発展と公共サービスの向上に貢献することが期待されます。また、多様な文化が共存するこの地域において、自治体間の連携がより一層重要になるでしょう。

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