北上川大賞典

奥州市長杯 北上川大賞典：岩手競馬を代表する長距離重賞競走の歴史と魅力

北上川大賞典は、岩手県競馬組合が水沢競馬場を主として開催する地方競馬の重賞競走です。東北地方を流れる最長の河川、北上川からその名を冠したこのレースは、長年にわたって多くのドラマを生み出してきた、岩手競馬を代表する競走の一つと言えるでしょう。正式名称は「奥州市長杯 北上川大賞典」で、奥州市が優勝杯を提供しています。

創設から現在までの変遷：開催場所、出走条件、名称の変遷

1978年、旧盛岡競馬場（黄金競馬場）で、岩手所属馬限定の重賞競走として誕生しました。創設当初はダート2450m、4歳（現在の3歳）以上のサラブレッドが対象でした。その後、開催場所は水沢競馬場、盛岡競馬場（OROパーク）と変遷を繰り返し、現在の水沢競馬場ダート2500mで開催されています。

出走条件も、創設当初の岩手所属馬限定から、東北地区交流競走、東日本・九州地区交流競走、地方競馬全国交流競走と段階的に拡大していき、2010年からは再び岩手所属馬に限定されました。2024年現在は、サラブレッド系3歳以上の岩手所属馬が出走可能で、すずらん賞の2着以内に入賞した馬には優先出走権が与えられています。

また、優勝杯を提供するスポンサーも変遷し、「MIT杯 北上川大賞典」、「サンケイスポーツ杯 北上川大賞典」、「奥州市長杯 北上川大賞典」、「盛岡市長杯 北上川大賞典」と、名称も時代と共に変化してきました。2021年には盛岡競馬場で開催され、名称も「盛岡市長杯」となりましたが、2024年からは再び水沢競馬場での開催となり、「奥州市長杯」に戻っています。施行距離も、2450m、2500m、2600mと変更されてきました。2024年は水沢競馬場ダート2500mで開催され、すずらん賞がトライアル競走として位置付けられています。

過去を彩った名馬と名勝負の数々

北上川大賞典の歴史には、数々の名馬と名勝負が刻まれています。スリーパレードによる史上初の連覇、ボールドマツクスの史上初の3連覇、グレートホープの史上2頭目の3連覇など、数々の記録が生まれてきました。また、騎手や調教師による連覇も数多く記録されており、これらの記録は、北上川大賞典の歴史の深さを物語っています。

近年では、2019年の開催中止（岩手競馬所属馬からの禁止薬物検出による岩手競馬開催中止）という暗い出来事がありましたが、地方競馬ファンは、北上川大賞典の復活と、これからも続くであろう数々の名勝負に期待を寄せています。

競走条件と賞金

2024年現在の競走条件は以下のとおりです。

出走条件: サラブレッド系3歳以上、岩手所属。すずらん賞の2着以上の馬に優先出走権あり。
負担重量: 定量。3歳55kg、4歳以上57kg（牝馬2kg減）。
賞金: 1着350万円、2着122万5000円、3着70万円、4着45万5000円、5着24万5000円。着外手当は1万7500円。
副賞: 奥州市長賞、岩手県馬事振興会会長賞、岩手県馬主会会長賞、開催執務委員長賞。

スタリオンシリーズ競走としての歴史

2007年から2013年までは、スタリオンシリーズ競走に指定されており、優勝馬の馬主には種牡馬の配合権利が副賞として贈られました。この期間は、特に注目を集めた時期と言えるでしょう。

北上川大賞典の今後

北上川大賞典は、長い歴史の中で、開催場所や出走条件、名称、賞金、副賞、トライアル競走などを変更しながら、今日まで続いてきました。これからも、地方競馬ファンに感動と興奮を提供し続ける、岩手競馬の顔として、その歴史を刻んでいくことでしょう。 地方競馬ファンのみならず、競馬に興味のある全ての人にとって、北上川大賞典は、見逃せない一戦と言えるでしょう。

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