北九州 - 別府・大分線

ゆのくに号：北九州と大分・別府を結んだ高速バス路線の軌跡

2015年3月7日、東九州自動車道の開通を受け、西鉄バス北九州、大分交通、大分バス、亀の井バスの4社共同で、北九州市と大分県別府市・大分市を結ぶ高速バス路線「ゆのくに号」が運行を開始しました。当初は1日6往復でしたが、その後最大9往復まで増便され、小倉南区や別府市街地を経由しないノンストップ便も設定されました。

しかし、利用者の伸び悩みや深刻な乗務員不足という課題に直面します。2018年3月31日、大分交通、大分バス、亀の井バスの3社が撤退し、西鉄バス北九州による単独運行に。減便やノンストップ便の廃止、運賃改定などの措置が取られました。

訪日外国人観光客の増加を見込み、2018年10月28日には大分交通と亀の井バスが北九州空港と別府市を結ぶ期間限定路線「Beppu Express」を運行開始。北九州-別府線への再参入を果たしましたが、2019年7月31日には運行を終了しました。

その後も、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、断続的な運休を余儀なくされました。利用状況の改善が見込めないことから、2022年5月1日に運行休止、そして2023年3月31日をもって路線は廃止されました。

ゆのくに号の変遷

運行開始（2015年）

東九州自動車道、豊前IC～宇佐IC間の開通を機に運行開始。椎田南IC～豊前IC間は国道10号を経由。
北九州市内は小倉東インター、北九州都市高速1号線経由。
路線愛称を募集し、「ゆのくに号」に決定。

東九州自動車道全線開通とダイヤ改正（2016年）

椎田南IC～豊前IC間が開通。全線東九州自動車道経由に変更。
北九州市内の経路変更（北九州都市高速1号線から、中谷・小倉南インター経由）。
新たな停留所の追加。
熊本地震後の観光需要喚起を目的としたキャンペーンを実施。
ノンストップ便の新設。

免許返納者への割引制度導入（2017年）

免許返納者に対し、割引運賃を適用。

大分3社撤退と単独運行、ダイヤ改正（2018年）

大分側3社撤退により、西鉄バス北九州単独運行に。
ノンストップ便廃止、減便、運賃値下げ、停留所の追加・廃止、事前予約制廃止など。
北九州空港～別府線「Beppu Express」運行開始（期間限定）。

Beppu Express運行終了（2019年）

「Beppu Express」運行終了。

コロナ禍と運休、路線廃止（2020年～2023年）

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、全便運休を繰り返す。
利用状況の改善が見込めないため、運行休止を経て、2023年3月31日をもって路線廃止。

運行会社

西鉄バス北九州（小倉自動車営業所）
* 過去の運行会社：大分交通、大分バス、亀の井バス

運行経路と停車停留所

路線廃止時の運行便は、北九州と大分を結ぶ各停便のみ。1日4往復、所要時間約2時間38分。nimocaなどの交通系ICカードやSUNQパスが利用可能。

車両と設備

4列シート、トイレ付き。大分交通と大分バスはかつて3列シート車を使用。

JRとの競合

JR九州の特急ソニックと競合関係にありました。ソニックは運賃面で優位性があり、ゆのくに号は運賃を安く設定することで差別化を図っていました。

まとめ

「ゆのくに号」は、東九州自動車道の開通を機に運行開始したものの、様々な要因により短命に終わりました。その歴史は、高速バス業界を取り巻く環境の変化や課題を浮き彫りにしています。

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