北伐 (中国国民党)

北伐の概要

北伐（ほくばつ）は、中国国民革命軍が北京政府や北洋軍閥を打倒し、中華民国を統一することを目的とした戦争です。この運動は、特に孫文と蔣介石によって推進されました。具体的には、一次北伐（1922年）、二次北伐（1924年）、三次北伐（1926年から1928年）に分けられます。北伐は、当時の中国の政治状況を大きく変え、国民政府の樹立に寄与しました。

第一次北伐

第一次北伐は1922年に始まり、孫文が広州で新政府の非常大総統に就任したことで動き出しました。彼は北伐の準備を進め、軍を指揮して江西省へ進軍します。しかし、広東での陳炯明によるクーデターの影響で北伐は中断。孫文は再起を図りますが、この試みは一時的に失敗に終わりました。

第二次北伐

1923年、孫文は広東を回復し、そこからソ連と連携し、中国共産党との協力を進めます。1924年には北伐軍総司令を譚延闓に任命し、北伐を推し進めます。馮玉祥が北京で政変を起こした後、行動に移るも全国的な統治の機運が高まり、北伐の流れは収束します。これにより、孫文の死後に北伐を再開するまで、状況は静止します。

第三次北伐

孫文の死後、国民党は蔣介石を指導者として立て、国民革命軍を編成しました。1926年に蔣介石は北伐宣言を行い、北京政府や軍閥の制圧を目指します。彼は南京や上海を占拠し、南京事件や上海クーデターを引き起こし、共産主義者に対する弾圧を強化します。この流れの中で国民党内部でも分裂が生じ、一時的に北伐が停滞します。

山東出兵

1927年、日本は山東省に軍を派遣し、北伐軍との武力衝突が発生します。さらに、田中義一首相と蔣介石の密約が成立し、北伐や共産主義への対抗のため日本の支援を受けることが合意されました。この時期、国内外の狼狽した状況が続きました。

北伐の再開

1928年、蔣介石は北伐を再開します。革命軍は順調に進行し、6月には北京を占拠、次いで全国統一の宣言が発表されます。しかし、北伐の成功は地方の軍閥の影響を排除せず、完全な統一には至りませんでした。これにより、国内では再び軍閥同士の抗争が勃発し、戦乱が続くことになります。

北伐後の情勢

北伐後も中国はさまざまな内部紛争に直面します。蔣介石の政権下でも軍閥の影響は残り続け、1929年には蔣桂戦争、1930年には中原大戦が発生します。このような情勢は、国内外のさまざまな利害関係が絡む中での複雑な政治状況を反映しています。北伐の完了は表面的な統一に過ぎず、混乱が続く中国の歴史に新たな影を落としました。

北伐は、中国国民党の形成を促進し、またその後の歴史に多くの影響を与えました。その影響は今後の中華民国と現代中国における政治的動向にも引き継がれることになります。

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