北原義道

北原義道

北原義道（きたはら よしみち）は、江戸時代末期にあたる弘化3年（1846年）10月21日に生まれ、明治27年（1894年）4月4日に生涯を閉じた、明治期日本の重要なプロテスタント牧師の一人です。

生涯

信濃国高遠藩で厩奉行を務める家に生まれた北原義道は、幼少期から漢学を修めました。明治維新後の激動期に上京し、その後横浜に移住。この地で、キリスト教宣教師であるJ・H・バラからキリスト教の教えを受け、信仰への道を歩み始めます。

明治5年（1872年）6月9日、北原はアメリカ長老教会のディビッド・タムソン牧師より洗礼を授けられました。翌明治6年（1873年）の新栄教会創設にも名を連ね、同年11月からは東京市日本橋区本革屋町の自宅を拠点に伝道を開始しました。

牧師としての召命を感じた北原は、さらなる研鑽を積みます。当初はタムソン塾で学んでいましたが、明治10年（1877年）に東京一致神学校が開設されると、その第一期生として入学し、専門的な神学教育を受けました。明治11年（1878年）4月3日には、後に日本を代表するキリスト教指導者となる服部章蔵、井深梶之助、植村正久、山本秀煌といった面々と共に、補教師となる准允（じゅんいん）を受けました。そして明治12年（1879年）、東京一致神学校の二期生として卒業を迎えました。

神学校卒業前後の時期から、北原は積極的な開拓伝道に乗り出します。明治11年（1878年）11月9日には、群馬県桐生に上州桐生教会（現在の日本基督教団桐生教会）を設立しました。さらに東京での伝道を続け、明治12年（1879年）11月22日には、自身が拠点としていた日本橋の地に日本橋教会（現在の日本基督教団日本橋教会）を設立しました。

明治13年（1880年）には按手礼を受け、日本橋教会の正式な牧師に就任。教会の指導者として歩みを進めます。しかし、教会運営は平坦な道ではありませんでした。後に北原の家庭内における息子を巡る事柄が影響し、教会の若者たちがこれをきっかけに日本橋教会を離れ、新たな集会を持つようになったのです。これにより、日本橋教会は分裂状態に陥りました。この事態を受け、北原は明治22年（1889年）に日本橋教会の牧師を辞任することとなりました。教会を離れた青年たちの集会は、翌明治22年（1890年）にはプリマス・ブレズレン派のハーバード・ブランドを指導者として迎え入れています。

牧師辞任後、北原義道は教会活動からは一歩引いた形となったようです。明治27年（1894年）、胃癌のため50歳でその生涯を閉じました。

付記

北原義道は、横浜でバラやタムソンからキリスト教を学んだ初期の日本人キリスト者の一人であり、しばしば横浜バンドの一員としても数えられます。明治初期という日本におけるプロテスタント宣教の黎明期において、伝道者、牧師として重要な役割を果たした人物です。

参考文献

『日本キリスト教歴史大事典』教文館、1988年
小野静雄著『日本プロテスタント教会史』聖恵授産所出版部、1986年

関連項目

* 横浜バンド

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