北大阪電気鉄道1形電車

北大阪電気鉄道1形電車

北大阪電気鉄道の1形電車は、同社が1921年に製造した小型の木造車体の電車です。この電車は八両が作られ、当時、新たに開業した十三 - 豊津間の区間で運行されました。開業時期に合わせて、車両として構想され、多くの乗客の輸送を可能にしました。

概要

北大阪電気鉄道は、1921年4月1日に十三と豊津を結ぶ7.6kmの路線を開業し、10月26日には豊津から千里山までの延伸を実施しました。その際に導入されたのが1形電車で、梅鉢鉄工所によって製造・組み立てが行われました。設計は阪神急行電鉄の37形と非常に似通っています。

仕様とデザイン

この形式の電車は、全長約11.4mの木造車体を持ち、78名の定員を収容できます。前面は緩やかな曲面を持つデザインで、前面に3枚の窓が並べられています。そして、二重屋根で明り取り窓が設けられ、トルペード形のベンチレーターが搭載されています。

主電動機としてはゼネラル・エレクトリック製のGE-203Pが2基搭載され、直接制御のGE-K-39-Cが制御器に使用されています。台車はJ.G.Brill社製のBrill 76-Eで、集電装置は当時の標準的なトロリーポール、バッファー付きのねじ式連結器が装備されていますが、全線専用軌道のためフェンダーはなしです。

北大阪電気鉄道から新京阪鉄道へ

北大阪電気鉄道は1923年に新京阪鉄道に買収され、1形電車は新京阪の呼称P-1として扱われることとなりました。1935年には愛宕山鉄道に譲渡され、そこでの運行が始まりました。愛宕山鉄道は嵐山と愛宕山間の参詣客輸送を目的に設計された路線で、平坦線が1929年に開通し、その際に1形電車5両が使われました。

映画への登場

1936年に公開された日独合作映画『新しき土』には、ヒロインが1形の4号に乗るシーンがあり、撮影は鳥居本駅で行われたとされています。

愛宕山鉄道の終焉とその後

愛宕山鉄道は1944年に廃止され、1形の5両は阪神急行電鉄及び京福電気鉄道へ譲渡されました。そこでの使用状況についてはそれぞれ経過が異なり、京阪電気鉄道では石山坂本線で活躍し、その後廃車へと至りました。また、京福電気鉄道では電装解除を行い、トレーラーとして運用されましたが1965年に廃車となりました。

信貴生駒電鉄への譲渡

最終的に信貴生駒電鉄にも数両が譲渡され、独特な電装に変更された車両は運用されましたが、1959年頃には廃車となりました。

北大阪電気鉄道1形電車は、歴史に名を刻んだものであり、地域の鉄道発展に重要な存在でした。

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