北村三郎

北村三郎 - 沖縄芸能を支えた俳優・演出家

北村三郎（きたむら さぶろう、本名：高宮城 實政、1937年8月25日 - 2020年2月6日）は、日本の俳優、演出家。沖縄県の演劇界、芸能界において多岐にわたる活動を展開し、大きな足跡を残した人物である。

沖縄芝居から本土へ、そして劇団旗揚げ

沖縄県中頭郡北谷村に生まれた北村三郎は、1956年に「ときわ座」に入団したことを機に、沖縄芝居の世界へ足を踏み入れた。翌年には「大伸座」へ活躍の場を移し、経験を積んだ。その後、活動の範囲を本土へと広げ、俳優の大路恵美子率いる一座に参加し、舞台での経験を深めた。1971年には、森田豊一や平良進ら沖縄演劇界の仲間とともに劇団「潮」を結成し、沖縄における新たな演劇活動の中心を担うこととなる。劇団「潮」では俳優としてのみならず、演出家としても手腕を発揮し、沖縄の文化や社会をテーマにした作品を数多く世に送り出した。

多様な才能を発揮

北村三郎の活動は演劇に留まらなかった。野村流古典音楽保存会の師範を務めるなど、沖縄の伝統音楽の保存・継承にも力を注いだ。また、ラジオパーソナリティとして、RBCiラジオの長寿番組「民謡で今日拝なびら」を担当するなど、親しみやすい語り口で多くのリスナーに愛された。俳優としては、沖縄を舞台にした数多くのテレビドラマや映画に出演し、その存在感を示した。その出演作品は全国放送されたものから、地元沖縄のテレビ局制作のドラマまで幅広い。

後進の育成と受賞歴

沖縄の芸能界の発展を願い、若手俳優の育成にも情熱を傾けた。2001年には芝居塾「ばん」を設立し、自らの経験や技術を次世代に伝えた。こうした長年の功績は高く評価され、沖縄の文化・芸術分野における重要な賞である沖縄タイムス芸術選賞において、奨励賞に続き大賞を受賞するという栄誉に輝いた。

一時の試練

2011年9月、酒気帯び運転の容疑で逮捕されるという出来事があった。この影響により、出演が予定されていたローカルヒーロー番組「ハルサーエイカー」の放送が急遽見送られるなど、活動に一時的な影響が出た。

晩年と legado

晩年まで精力的に活動を続けたが、2020年2月6日、急性心筋梗塞のため82歳で逝去した。沖縄の演劇界、芸能界に多大な貢献を果たした彼の死は、多くの関係者やファンに惜しまれた。北村三郎の演劇への情熱や多岐にわたる活動は、沖縄の文化芸術の中に確かな足跡として刻まれている。

家族

息子の高宮城実人も俳優として活動しており、NHK-BS時代劇「テンペスト」に出演するなど、親子の二代にわたって俳優の道を歩んだ。

主な出演作品

以下に、北村三郎の主な出演作品を挙げる。

テレビドラマ

走れ!ケー100（1973年、TBS）
何時の日ぞ（1982年、沖縄テレビ）
海の群星（1988年、NHK）
白旗の少女（1990年、フジテレビ）
あけぼの荘の人々（2001年、沖縄テレビ）
あけぼの荘の人々パートV（2005年、沖縄テレビ）
ひめゆり隊と同じ戦火を生きた少女の記録 最後のナイチンゲール（2006年、日本テレビ）

映画

パラダイスビュー（1985年）
嘉手苅林昌 唄と語り（1995年）
深呼吸の必要（2004年）
風音（2004年）
クリアネス（2007年）
大きな古時計 劇場版（2022年）

ラジオ

民謡で今日拝なびら（RBCiラジオ）

関連する活動

北村三郎が関わったカセット・CDや制作物についても触れる。

カセット・CD

自身の主演舞台「タウチー一代 蹴られた男」のテーマソング「たうちー一代」では、歌唱と共に歌詞の間に台詞を挿入するという独特のスタイルで参加している。この楽曲は複数のコンピレーション盤に収録されている。
『沖縄民謡名選集2』（マルフクレコード）
『新歌特集 20曲』（ンナルフォンレコード）
『RBC創立40周年記念盤 綾うた 上原直彦作詞集』（マルフクレコード）

制作

* ジャパンアクションクラブ（JAC）ミュージカル「ゆかいな海賊大冒険」（1982年、1983年、1984年）の演出を手掛けた。

これらの活動を通じて、北村三郎は沖縄の芸能文化の多様な側面に深く関わり、その発展に貢献し続けた。

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