北村協一

北村協一について

北村協一（きたむら きょういち、1931年9月9日 - 2006年3月13日）は、日本の著名な指揮者であり、特にオペラと合唱の分野でその才能を発揮しました。彼の音楽への情熱と卓越した指導力は、多くの音楽家や合唱団に深い影響を与えました。

生い立ちと初期の音楽活動

1931年、北村協一は小倉市で3人兄弟の末っ子として誕生しました。幼少期に大阪へ移り住みましたが、戦時中は高知市へ疎開。その後大阪に戻り、関西学院大学経済学部へ進学しました。大学在学中に関西学院グリークラブの学生指揮者に就任し、1953年の全日本合唱コンクール全国大会大学部門で優勝を果たすなど、早くからその才能を開花させました。

プロの音楽家としての歩み

大学卒業後、北村は福永陽一郎の誘いを受け、東京コラリアーズに歌手として入団。その後、指揮者としてのキャリアをスタートさせました。1960年には藤原歌劇団に入団し、オペラ指揮者としての経験を積みました。藤原歌劇団退団後は、1968年から二期会合唱団の常任指揮者、1970年からは専属指揮者として活躍しました。指揮法を森正氏に、打楽器を今村征男氏に師事し、音楽家としてのスキルを磨きました。

指揮者、教育者として

北村は合唱指導においても優れた才能を発揮し、特に黒人霊歌の指導には定評がありました。作曲家・多田武彦の作品を多く指揮し、多田本人からも絶大な信頼を得ていました。男声合唱や女声合唱のレパートリー拡大に努め、新作の初演や歌曲、オペレッタ、ミュージカルなどの編曲を数多く手がけました。福永陽一郎と共に編纂した『グリークラブアルバム』には、北村自身が編曲した楽曲も含まれています。

また、北村は教育者としても優れており、多くの優秀な弟子を育てました。神戸市混声合唱団首席指揮者、TOKYO FM少年合唱団首席指揮者、関西学院グリークラブ技術顧問、新月会会長、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団客演指揮者、上智大学グリークラブ常任指揮者、立教大学グリークラブ指揮者、アラウンドシンガーズ音楽監督などを歴任し、多くの学生や一般合唱団の指導にあたりました。彼の指揮による録音も多数残されています。

最期

2006年3月13日、北村は肺癌のため74歳で逝去しました。最後のステージは、同年2月26日に行われた「第74回関西学院グリークラブリサイタル」における関西学院高等部グリークラブ、関西学院グリークラブ、新月会の合同演奏で、多田武彦作曲の男声合唱組曲「雨」でした。車椅子での指揮でしたが、多くの観客に見守られながら、最後まで情熱的に音楽を追求しました。

人物

北村が関西学院大学を志望したきっかけは、両親が熱心なクリスチャンであったこと、疎開中に聴いた関学グリーの演奏会に感銘を受けたことでした。学生指揮者に就任する際、部員全員による信任投票で選出された最初の学生指揮者であり、彼のリーダーシップは高く評価されていました。

主な役職

神戸市混声合唱団首席指揮者
TOKYO FM少年合唱団首席指揮者
関西学院グリークラブ技術顧問
新月会会長
慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団客演指揮者
上智大学グリークラブ常任指揮者
立教大学グリークラブ指揮者
アラウンドシンガーズ音楽監督
日本指揮者協会会員
日本演奏連盟会員

参考文献

山中源也『関西学院グリークラブ八十年史』関西学院グリークラブ部史発行委員会、1981年

外部リンク

北村協一先生映像集

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