北村英三

北村英三：多才な俳優の生涯

北村英三（きたむらえいぞう、1922年4月17日-1997年3月7日）は、日本の俳優、演出家として知られています。晩年は喜多村英三と名乗っていました。東京府東京市牛込区（現在の東京都新宿区）出身で、旧制第四高等学校を経て京都帝国大学文学部国語国文科を1948年に卒業しました。

大学在学中は、恵まれた長身を生かし、学生演劇で主演と演出を数多く手がけました。1947年には劇団くるみ座の創立にも参加しています。

卒業後は、近畿地方を拠点に、舞台、ラジオドラマ、テレビドラマ、映画と幅広い分野で活躍しました。個性派俳優として高い評価を得ており、その演技力は多様性に富んでいました。

北村英三の代表的な役柄としては、映画『吸血鬼ゴケミドロ』での権力者・真野剛造や、結束信二脚本、司馬遼太郎原作のテレビドラマ『新選組血風録』と『燃えよ剣』での井上源三郎などが挙げられます。その他、数多くの作品で、権力者から庶民まで、様々な役どころを演じきり、その存在感は群を抜いていました。

映画では、『出世武士道』、『この首一万石』、『燃えよ剣』、『シンガポールの夜は更けて』、『人妻椿』など、数々の作品に出演。東映、松竹、大映といった大手映画会社作品にも多数出演しています。時代劇から現代劇まで、幅広いジャンルでその演技を披露し、作品に深みを与えていました。特に、東映作品への出演が多く、『仁義なき戦い』シリーズにも出演しています。

テレビドラマでは、『部長刑事』、『水戸黄門』、『必殺シリーズ』、『暴れん坊将軍』シリーズなど、長寿番組への出演も多く、お茶の間の人気者として親しまれていました。これらの番組で演じた役柄も、権力者から庶民まで幅広く、その演技力は高く評価されていました。また、『新選組血風録』や『燃えよ剣』での井上源三郎役は、彼の代表作の一つとして記憶されています。

北村英三は俳優業の傍ら、大阪芸術大学舞台芸術学科の教授も務めていました。後進の指導にも力を注ぎ、大学の後輩である大島渚、戸浦六宏、永井一郎ら多くの俳優を指導したことは、彼の俳優としての功績をさらに輝かせるものとなっています。

1997年3月7日、検査入院中に心不全のため亡くなりました。数々の作品に出演し、日本の俳優界に大きな足跡を残した北村英三の死は、多くの人々に惜しまれました。彼の残した作品は、今もなお、多くの人々に感動を与え続けています。

出演作品（抜粋）

映画
出世武士道 (1961年)
この首一万石 (1963年)
燃えよ剣 (1966年)
吸血鬼ゴケミドロ (1968年)
人斬り (1969年)
仁義なき戦い 広島死闘篇 (1973年)
まむしの兄弟 二人合わせて30犯 (1974年)
愛の亡霊 (1978年)
真田幸村の謀略 (1979年)

テレビドラマ
ナショナル日曜観劇会 / 釜ヶ崎 (1961年)
新選組血風録 (1965-1966年)
部長刑事 (1967年-)
燃えよ剣 (1970年)
水戸黄門 (1973年-)
必殺シリーズ (1974年-)
暴れん坊将軍シリーズ (1978年-)
鬼平犯科帳 (1990年-)
御家人斬九郎 (1995年-)

ラジオドラマ
* お父さんはお人好し (1954年-1965年)

北村英三の生涯は、俳優として、演出家として、そして教育者として、多方面で才能を発揮した充実したものでした。彼の功績は、これからも日本の演劇史に刻まれ続けるでしょう。

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