吸血鬼ゴケミドロ

吸血鬼ゴケミドロ

概要

『吸血鬼ゴケミドロ』は、1968年8月14日に松竹によって公開された特撮映画で、日本の怪奇特撮ジャンルの先駆けとなった作品です。この映画は、SFとホラーの要素が交錯し、緊迫した展開と人間ドラマを描くことによって、観客に深い印象を残しました。

作中では、1960年代後半の日本を舞台に、羽田空港から伊丹空港へ向かう旅客機がハイジャックされ、謎の火の玉に遭遇した後、無人の山中に不時着するというシナリオが展開されます。生き残った乗客たちは、もともとテロリストだった男が寄生生物によって吸血鬼となり、次々と仲間を襲う恐怖に直面します。

ストーリー

物語は、ハイジャック犯である寺岡博文が旅客機を制圧し、異星生命体の影響で生存者たちが次々と襲われる様子を描いています。生存者たちは、精神科医や政治家、ビジネスマンなど多彩な職業背景を持つ人々で構成されており、それぞれが自らの生存をかけて恐怖と戦う姿が描かれています。

特に寺岡に寄生したゴケミドロは、血を求める凶暴な生物であり、その姿は恐怖映画の典型的なモンスター像を体現しています。生存者たちの間に生まれる裏切りや協力、そして個々のエゴが絡み合う中、彼らはゴケミドロの脅威に立ち向かいます。

制作背景

本作は松竹が前年に公開した『宇宙大怪獣ギララ』の流れを汲む形で制作されました。企画はピー・プロダクションから始まったもので、題材として宇宙生物と人類の戦いが選ばれました。その結果、宇宙人や寄生生物と戦うというテーマが生かされて、作品が進化していきました。

特に注目されたのは、テロリスト役の高英男が、実はシャンソン歌手であったことです。彼は自らの役柄が持つ悲劇的な運命に惹かれ、映画に出演することを決意しましたが、結果的には当初の予定とは異なる結末を迎えることになりました。

名前の由来

「ゴケミドロ」の名称は、うしおそうじが考案したもので、京都の「西芳寺」と「深泥池」からインスパイアを受けた造語です。興行的な理由から、当初の「コケミドロ」から濁点が加わった名称に変更されました。松竹の広報により、タイトルの背景や意味についての説明も付け加えられ、観客への印象づけが計られました。

評価と影響

本作は公開当初から特撮映画の枠を超え、世界的にも影響を与えた作品として知られています。特に、クエンティン・タランティーノ監督がこの映画のファンであることを公言し、彼の作品にもオマージュが捧げられていることが知られています。また、リメイクを熱望する声もあるほどに、世代を超えて支持されています。

今なお、『吸血鬼ゴケミドロ』は特撮映画ファンやホラー映画の愛好者にとって重要な作品であり、恐怖の本質と人間関係の複雑さを描く名作として評価されています。

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