北条時茂

北条時茂：鎌倉時代を彩った武将

北条時茂（ほうじょう ときしげ/ときもち）は、鎌倉時代中期に活躍した武将であり、北条氏の一門として知られています。父は北条重時、母は平基親の娘であり、名門の血筋を受け継いでいます。特に、常盤流北条氏（常盤家）の祖として、その名を歴史に刻んでいます。

若き日の活躍

時茂は、10歳で『吾妻鏡』に登場し、垸飯の儀式で一御馬を担当しました。12歳では、新将軍宗尊親王の鎌倉到着を迎える行列に加わるなど、早くから幕府の要職に関わっていました。14歳で小侍所の別当に就任するなど、その才能は若くして開花しました。

六波羅探題としての重責

建長8年（1256年）、16歳の若さで六波羅探題北方に就任し、上洛。父・重時からの「極楽寺殿御消息」は、この時に時茂に与えられたものと考えられています。六波羅探題として15年間もの長きにわたり在職し、京都において幕府の権威を示す重要な役割を果たしました。在職中には、前将軍宗尊親王を自邸に迎えるなど、政治的な手腕も発揮しています。

文化人としての側面

時茂は武将としてだけでなく、文化人としても才能を発揮しました。和歌をよくし、『続古今和歌集』『続拾遺和歌集』『新後撰和歌集』といった勅撰和歌集に計4首の歌が掲載されています。その洗練された感性は、後世にも評価されています。

一族と子孫

時茂には、時範、政茂、貞茂といった息子たちがおり、それぞれが歴史に名を残しています。また、2人の娘がいたことも知られています。そして、時茂の曾孫にあたる足利尊氏は、後に鎌倉幕府を滅ぼし、室町幕府を開くという、歴史的な偉業を成し遂げました。

常盤亭跡

時茂が鎌倉郡常盤郷に構えた屋敷は、常盤亭と呼ばれました。その跡地は、現在も「北条氏常盤亭跡」としてその名残をとどめています。

北条時茂は、鎌倉時代という激動の時代において、武将として、政治家として、そして文化人として、多岐にわたる才能を発揮し、歴史にその名を刻んだ人物です。

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