北条貞冬

北条 貞冬 (ほうじょう さだふゆ)

北条貞冬は、鎌倉時代末期に活躍した武将で、北条氏一門の金沢流北条氏に属しています。父は第15代執権の北条貞顕であり、その血筋を引く貞冬は歴史に名を刻んでいます。彼の名は、吉田定房の弟である冬方からの偏諱を含んでいる可能性が考えられています。

生涯

貞冬は、生母が側室の薬師堂殿（吉田氏）であることから、嫡男の貞将とは異母兄弟の関係にありました。彼は、嘉暦4年（1329年）4月に引付衆に就任し、同年の12月には評定衆に任命されると同時に官途奉行も兼任しました。その後、元徳2年（1330年）6月には右馬助を辞任し、従五位上に昇進しました。

後醍醐天皇が討幕運動を展開し、武士や公家が彼の元に集まる中、貞冬は元弘元年/元徳3年（1331年）9月に大将軍として上洛しました。彼は江馬越前入道や大仏貞直、足利尊氏らと共に行動し、さまざまな戦闘に参加しました。

当時、楠木正成の奮戦により各地で討幕運動が盛り上がり、貞冬は伊勢で軍を整えた後、近江の北条家の所領である柏木御厨から宇治へと移動しました。9月25日には宇治から賀茂へ進軍し、翌26日には貞直と共に上洛軍を率いて笠置に向かいました。彼の指揮のもと、笠置を攻め落とし、後醍醐天皇を捕らえることに成功しました。

その後、貞冬家の宗像重基が後醍醐天皇の第一皇子である尊良親王を捕縛したことで、貞冬は10月28日に花園上皇から馬を贈られるという栄誉に浴しました。このように、彼は数々の戦闘での指揮を通じて、その名を高めていきました。

同月には、楠木正成が籠城していた赤坂城の攻撃の大将に任じられ、険しい戦いの末に赤坂城を攻略しました。このように、貞冬は幕府における名将として多くの功績を上げており、彼の名はその業績と共に今に語り継がれています。

11月2日、貞冬は鎌倉に向けて進発し、その後の動向は確認できませんが、兄弟や父が幕府の滅亡時に相次いで討死や自害を選んだことから、彼もまた同様の運命を辿った可能性が高いとされています。

経歴

• - 元徳元年（1329年）：引付衆に就任
• - 元徳元年（1329年）12月：評定衆兼官途奉行に就任

その他

神奈川県横浜市金沢区に存在した青ヶ台城は、『新編武蔵風土記稿』において「金沢右馬助」の居城と伝えられており、これが貞冬に関連しているのではないかと考えられています。

参考文献

• - 平井聖ほか 1980「青ヶ台城山」『日本城郭大系』第6巻 千葉・神奈川 新人物往来社 pp.297-298
• - 永井晋 『金沢貞顕』 吉川弘文館 人物叢書、2003年

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