北浜銀行

北浜銀行（摂陽銀行）

株式会社北浜銀行、または株式会社摂陽銀行は、かつて大阪市に本店を置いていた銀行です。現在の三菱UFJ銀行を構成する前身の一つとして知られています。

概要

北浜銀行は1897年1月に第四十二国立銀行の営業を継承し設立されました。その後、1904年に平安銀行を合併し、1906年11月には藤本銀行を買収するなど、規模を拡大しました。

設立者の一人である岩下清周は、1903年から頭取を務め、大阪電気軌道の生駒トンネル建設を支援しました。また、1907年には小林一三から箕面有馬電気軌道への出資を依頼され、これに協力しました。

同年、鈴木藤三郎の発明による年4回醤油が醸造できるという宣伝文句で、日本醤油醸造を設立し、尼崎と東京に大林組が建設した工場を運営しました。しかし、1908年に塚崎直義が秘書として入社し副支配人となると、製品へのサッカリンとホルマリンの使用が発覚し、株価が暴落、1910年11月に解散に至りました。

1914年4月には、大阪日日新聞が北浜銀行と岩下を放漫経営であると非難する記事を掲載し、取り付け騒ぎが発生しました。同年9月から休業し、12月より更生開業となりました（北浜銀行事件）。

1915年2月、社長の岩下清周をはじめとする社員5名が横領の罪で逮捕され、同年10月には大阪地方裁判所の予備審問を経て起訴されました。

1919年9月、北浜銀行は摂陽銀行に改称され、1926年6月に三十四銀行に合併されました。三十四銀行はその後、三和銀行となり、現在の三菱UFJ銀行へと繋がっています。

北浜銀行に関わった人物

岩下清周：北浜銀行の設立者の一人であり、頭取を務めた。
小林一三：岩下清周に箕面有馬電気軌道への出資を持ちかけた。
鈴木藤三郎：年4回醤油が醸造できる技術を発明し、日本醤油醸造を設立した。
塚崎直義：日本醤油醸造の副支配人。製品へのサッカリンとホルマリンの使用が発覚し、会社の解散を招いた。

参考文献

味の素グループ『味の素グループの百年: 新価値創造と開拓者精神 : 1909→2009』味の素グループ、2009年。
大林組『大林組八十年史』大林組、1972年。
味の素『味の素株式会社社史』《１》味の素、1971年。
味の素『味の素沿革史』味の素、1951年。
時事新報社経済部「日本醤油の破産」『商売打明話 : 家庭の経済知識』宝文館、1929年。
法律新聞『サッカリン混入の醤油と売買（判決例）』《1916年6月18日》神戸大学新聞記事文庫、1916年。
東京毎日新聞『商標の件数 (一〜四) : 登録商標研究の三』 1912年4月20日、4月23日、神戸大学新聞記事文庫、1912年。
日本電報通信社『広告五十年史』日本電報通信社、1951年。
* 大阪朝日新聞『岩下事件予審決定書』大阪朝日新聞、1915年10月14日。

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