北海道札幌啓成高等学校

概要

北海道札幌啓成高等学校（ほっかいどうさっぽろけいせいこうとうがっこう）は、北海道札幌市厚別区に位置する道立高等学校です。1966年に開校し、その校名は開校当時の北海道知事であった町村金五氏が『論語』の一節から命名したものです。

本校は、北海道内の理数科設置校の事務局機能を担うなど、理数教育において中心的な役割を果たしています。大学との連携による体験学習や、理数科の生徒が自らテーマを設定し掘り下げる「課題研究」など、先進的かつ探究的な学習プログラムを特色としています。また、2002年には宇宙開発事業団（当時）の教育プログラムにおいて、宇宙空間での実験に参加するチームの一つに選ばれるといったユニークな実績も有しています。

これらの活動基盤が評価され、2010年度からは文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール（SSH）に指定されています。現在（2020年度以降）は3期目のSSH指定期間中であり、科学技術分野で将来活躍できる人材の育成に重点を置いた教育を展開しています。

沿革と進学実績の軌跡

本校は1965年の高校設置決定を経て、翌1966年4月に普通科高校として産声を上げました。開校当初は札幌南高等学校の仮校舎を利用していましたが、1967年には現在の札幌市厚別区の校地へ移転。1968年には理数科が設置され、普通科と理数科を擁する高校となります。生徒の服装については、一時期の自由化を経て、1985年度の入学生からは制服が導入されました。

開校以来、国公立大学への合格者を着実に輩出し、1980年代前半には北海道大学に多数合格するなど、地域における中堅進学校としての地位を確立していました。しかし、1980年代後半から1990年代にかけて、学区改変や周辺環境の変化、学校方針の変更などが影響し、人気が低迷。1990年代後半には国公立大学合格者数が20名台まで落ち込む厳しい時期を経験します。

この状況を打破するため、学校は教育内容と環境の抜本的な改善に取り組みました。2000年の学区再編や、2003年の新校舎竣工は、学校の評価と魅力を大きく向上させ、入学してくる生徒の学力水準を高めることに繋がりました。さらに、普通科での教育課程の見直し（例えば文理型の設置）や、SSH指定校となったことによる探究活動の本格的な推進が、生徒一人ひとりの学力向上を力強く後押ししました。その結果、進学実績は劇的な回復を遂げます。国公立大学合格者数は、2002年の17名（現役14名）を底として、その後は増加の一途をたどり、2024年には187名（現役176名）と過去最高記録を大幅に更新。目覚ましい復活を遂げるとともに、近年は更なる進学実績の伸長を見せています。

校地・施設

本校は、北海道開拓の村や北海道博物館などが含まれる広大な野幌森林公園に隣接しており、豊かな緑に囲まれた学習環境が特徴です。敷地面積は7万平方メートルを超え、一般的な都市部の公立高校と比較して約1.5倍の広さを有しています。現在の校舎は2003年に竣工した新しい建物で、バリアフリー設計やエレベーターが完備されるなど、生徒の学びやすさに配慮されています。玄関ホールでは外靴のまま校舎内に入れる「一足式」を採用しており、スムーズな移動が可能です。

理数教育を推進するための施設・設備も非常に充実しています。数理教室には窓側を除く3面に大型黒板が設置されているほか、理科の特別教室は物理、化学、生物、地学の各分野に対応し、薬品庫や飼育室を含む高度な実験設備や機器が整備されています。校舎中央にあるセンターコート（中庭）には噴水があり、生徒たちの憩いの場として親しまれています。また、すべての普通教室にLAN接続可能なパソコンが設置されるなど、最新のICTを活用した学習環境も整えられています。

課外活動

部活動や局活動も活発に行われており、全国レベルで活躍する団体が少なくありません。近年では、2017年度に女子テニス部、体操部、陸上競技部、空手道部、囲碁将棋部、新聞局、放送局といった複数の部・局が全国大会に出場を果たしました。特に2019年度には、高校総体の女子テニスシングルスにおいて、本校の選手が北海道勢として初の全国優勝という歴史的な快挙を達成しています。新聞局も全国高校新聞コンクールで複数回にわたり優秀賞や奨励賞を受賞するなど、高い実績を誇ります。吹奏楽局は2022年の北海道吹奏楽コンクール高等学校B編成の部で金賞を受賞し、東日本学校吹奏楽大会へ出場を果たしました。この他にも、体操部、科学部、美術部、写真部などが日々熱心に活動しています。

著名な出身者

本校からは、様々な分野で活躍する著名な人物を輩出しています。

文化
菅原浩志（映画監督）
芸能
古村比呂（俳優）
佐木伸誘（シンガーソングライター）
増子直純（怒髪天ヴォーカル）
白井裕紀（歌手・作詞家）
一十三十一（歌手）
井上鉄平（BAZRAヴォーカル）
マスコミ
山田英寿（北海道文化放送アナウンサー）
ヒロ福地（FMノースウェーブDJ、司会者）
中田ゆかり（元FMノースウェーブDJ）
スポーツ
* 藤田征也（プロサッカー選手）

交通アクセス

JR函館本線森林公園駅の東口から徒歩でおよそ10分の距離にあります。また、JR千歳線新札幌駅および札幌市営地下鉄東西線新さっぽろ駅に直結する新札幌バスターミナル（北レーン）からは、ジェイ・アール北海道バス（新22・新13・新15系統など）を利用し、「啓成高校前」停留所で下車すると学校はすぐ目の前です。

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