北海道東照宮

北海道東照宮：激動の歴史を刻む函館の神社

北海道函館市陣川町に鎮座する北海道東照宮は、別名函館東照宮として知られる、徳川家康を祀る神社です。かつては県社に列せられ、地元の人々から厚い信仰を集めてきました。

創建と箱館戦争

その歴史は、1864年（元治元年）に遡ります。江戸幕府が五稜郭の築城に着手した際、様似の等澍院に祀られていた東照大権現が、五稜郭の鬼門とされる上山村（現在の神山稲荷神社付近）へ遷座されました。この地は、神山と改名され、盛大な例大祭が催されるなど、東照宮は「蝦夷日光」と呼ばれ、広く信仰を集める存在となりました。

しかし、明治維新後勃発した箱館戦争において、北海道東照宮は大きな試練に見舞われます。旧幕府軍は、五稜郭防衛のために東照宮に陣地（権現台場）を築き、激戦の舞台となりました。1869年（明治2年）5月11日の箱館総攻撃では、社殿は戦火によって焼失してしまいました。

戦後と移転

社殿の焼失後、北海道東照宮は幾度もの移転を繰り返します。1874年（明治7年）6月には谷地頭に仮社殿を建立、その後、1878年（明治11年）12月には南新町（現在の元町配水場付近）、1879年（明治12年）4月には亀若町（現在の宝来町）へと移転しました。1934年（昭和9年）3月には函館大火で類焼するも、同年9月に再建されています。社格も変遷し、1874年には村社でしたが、1915年（大正3年）に郷社、1923年（大正11年）には県社へと昇格しました。

そして、1992年（平成4年）、現在の陣川町へと落ち着きました。現在地に遷座するまで、幾多の困難を乗り越えながらも、人々の信仰を集め続けてきた歴史がうかがえます。

貴重な遺構

創建当時の面影を偲ばせる遺構として、箱館奉行・小出秀実が奉納した御影石の手水鉢が残っています。この手水鉢は、北海道東照宮の歴史を物語る貴重な遺品と言えるでしょう。

まとめ

北海道東照宮は、五稜郭の建設や箱館戦争といった歴史的出来事と深く関わってきた神社です。幾度もの移転や火災といった困難を乗り越え、現在も人々の信仰を集め続けています。創建当時の遺構や、移転の歴史をたどることで、函館の歴史の一端に触れることができるでしょう。その歴史と、人々の信仰の深さを知る上で、北海道東照宮は重要な存在と言えるのではないでしょうか。

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