北郷持久

北郷持久（ほんごう もちひさ）とは

北郷持久は、室町時代中期に活躍した日向の武将で、北郷氏の5代目当主です。4代当主北郷知久の嫡男として生まれました。都城を領有していましたが、大覚寺義昭事件に連座したことで、その後の人生は波乱に満ちたものとなりました。

大覚寺義昭事件と持久の失脚

正長元年（1428年）、室町幕府3代将軍足利義満の子である大覚寺義昭は、6代将軍の座を巡るくじ引きで兄の義教に敗れました。その後、義昭は京を離れ各地を転々とした後、従僧源澄の出身地である日向国島津荘内中郷に逃れました。この地を領していたのが北郷持久でした。

義教は義昭を捕縛するよう全国に指令しましたが、持久は義昭の滞在を黙認しました。しかし、幕府のお尋ね者である義昭をいつまでも匿うことはできず、持久は義昭を同じ日向櫛間の地頭である野辺氏のもとへ移しました。ところが、義昭が日向に潜伏していることを幕府が知るところとなり、義教は日向守護島津忠国に義昭の殺害を命じました。

嘉吉元年（1441年）、忠国は持久、樺山孝久、新納忠続、本田重恒、肝付兼忠の五将や、重臣山田忠尚らの軍勢を櫛間に派遣し、義昭がいた永徳寺を包囲しました。義昭は自害し、その首は京へ送られました。義教は大いに喜び、褒賞として五将に銘刀一腰を、忠国には銘刀一腰に加えて腹巻一領と青馬一頭を与えました。

責任追及と失意の日々

しかし、8代将軍足利義政の時代になると、義昭を匿っていた過去の責任が問われることになりました。持久は逃亡幇助の責任を負わされ、幕府は禰寝氏などに持久追討の指令を下しました。享徳2年（1453年）、事態を憂慮した島津忠国は、持久から都之城を没収し、三俣院高城に閉居を命じました。高城は和田氏の居城で、持久の妻は和田氏の出身であったため、持久は和田氏の食客のような身分で高城で謹慎することになりました。

安永城築城と晩年

寛正6年（1465年）、閉居を許された持久は、荘内古江村の薩摩迫に移り、応仁2年（1468年）に安永城を築き、そこを居城としました。しかし、北郷氏の本拠地である都城に復帰することは、持久の存命中には叶いませんでした。旧領都城を取り戻したのは、文明8年（1476年）、子である6代当主敏久の代になってからでした。

このように、北郷持久は、大覚寺義昭事件に翻弄され、波乱の生涯を送った武将でした。

参考文献

『都城市史』
『高城町史』
瀬戸山計佐儀『都城島津家歴代史　全』三州文化社、1992年
『都城盆地 史跡ガイドブック ①旧都城市編』南九州文化研究会、2014年

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