十勝川

十勝川とは

十勝川（とかちがわ）は、北海道中東部に位置する一級河川で、十勝総合振興局の管内を流れ、太平洋へと注ぎ込んでいます。この川は十勝川水系の主流にあたります。

名称の由来

川の名前は、河口近くで用いられていた「トカㇷ゚チ」が起源とされており、その正確な意味は現在では失われています。

地理的特徴

十勝川の源流は、上川郡新得町の北西、十勝岳の近くに位置します。そこから南東へ流れ、多くの支流を集約し、中川郡豊頃町の地点で太平洋に流れ出ます。流域面積は九州全体に匹敵し、全国の河川の中では6位、北海道内では2位の広さを誇ります。流域には十勝ダム、岩松ダム、屈足ダムといった大規模なダムが存在し、河川の水管理にも重要な役割を果たしています。

十勝川周辺は、一般的に台地状の地形が広がっており、物理的特性から石狩川に比べて河川の低地が狭小で、治水工事が進められています。また、現河道である十勝川統内新水路は、2023年に土木学会選奨土木遺産に認定されました。源流部は原生自然環境保全地域として、特別な保護がされています。

生態系の特徴

十勝川にはかつて豊富な生物が生息しており、特にサケの遡上が多く見られました。また、2メートルを超えるイトウが釣れた記録もあります。十勝川温泉から少し下流に位置する千代田堰堤では、秋になるとサケの捕獲が行われ、地域の名物として知られていますが、現在では複数のダム建設や水質汚染の影響により、魚の種類や数が顕著に減少しています。

上流域ではエゾシカが多く生息しており、農作物への食害も問題になっています。特に1879年の冬、豪雪の影響で餌不足に陥ったエゾシカが多数餓死し、春にはその残骸で川の水が汚染された出来事が記録に残っています。中流域ではハクチョウの飛来も観察でき、冬場に特に注目を集めます。

災害の歴史

十勝川は過去に大規模な災害を経験しています。1962年の台風第9号による氾濫や、2016年の北海道豪雨などがあります。これらの災害は、河川の水位や周辺の生態系に深刻な影響を及ぼしました。

流域の自治体と支流

流域には上川郡の新得町や清水町、帯広市、河東郡音更町、中川郡幕別町などが含まれています。更には、数多くの支流が存在し、地域に豊かな水資源を提供しています。

十勝川は、その美しい自然環境と豊かな生態系、そして地域経済にとって欠かせない重要な存在です。今後も持続可能な管理と保護が求められるでしょう。

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